バックオフィス向けクラウドサービス群「楽楽クラウド」を展開するラクスのパートナービジネスが成長を続けている。パートナーと連携してのソリューション提案や、地方での販路拡大などさまざまな施策が奏功し、間接販売での顧客が増加している。DX推進をはじめとした企業の抱える課題をさらに深掘りするとともに、顧客企業への導入をよりスムーズにしていくため、パートナーとの協業をさらに強化する考えだ。(大向琴音)
ソリューション提案の重要性が高まる
同社は創業以来、直販を中心としてきたが、より幅広い顧客へのアプローチを目的に、2016年にパートナービジネスを本格化した。現在、案件ベースでは直販の比率が約7割、パートナー経由が約3割で、近年はパートナー経由の比率が徐々に高まっているという。
最近では顧客のニーズが変化している。従来は「経費精算サービスを使いたい」「請求書発行の課題を解決したい」など具体的なニーズを持つ企業が多かったが、現在では「DXを進めたい」といった広い課題の相談が増えているという。
上級執行役員で楽楽クラウドバックオフィス事業統括本部の吉岡耕児・統括本部長は、そうしたニーズに対応するため、「われわれやパートナーには、ソリューション提案が求められる」と説明する。製品そのものを提示するのではなく、顧客の業務フローや課題を理解した上で、どの領域から改善に着手すべきかを見極め、最適な解決策を提案することが重要になっているとする。
そうした案件では、顧客との接点や業務理解に強みを持つパートナーと、製品に関する知見を持つラクスが役割分担しながら提案を行う。実際にラクス社員がパートナーと共に顧客先を訪問し、課題の深掘りやソリューションの具体化に取り組んでいる。
吉岡耕児・上級執行役員
地方開拓を目指し協業を加速
同社では、パートナーとの協業による地方市場の開拓に力を入れている。ITへの感度が高い都市部の企業では、業務改善のためのクラウドサービスを導入しているケースが多いが、地方には潜在的なニーズを抱える企業がいまだ数多く存在するとみる。また、新たなITツール導入への心理的なハードルが高い顧客も多いことから、地域で信頼関係を築いているパートナーは不可欠な存在となる。
その中で同社は、全国各地に拠点を展開している。26年には、3月に仙台市、5月に岡山市に営業所を新たに開設した。拠点を設けることで、顧客開拓だけではなくパートナーとの関係を強化する狙いがある。
地方の顧客開拓の施策として、地方銀行との連携強化を図っている。社員を地銀に出向させ、行員に同行して中小企業のニーズを聞き取り、楽楽クラウドの製品や他社製品を提案するなど、地銀が持つ顧客接点を活用して潜在需要を掘り起こしている。製品導入を通じて、取引先の決済口座をパートナーの地銀へ集約する取り組みも進め、本業である預貸ビジネスの強化にも貢献する考えだ。
全国に支店をもつ販売パートナーや、地場ベンダーとの関係構築も重視する。地域や顧客層によって強みを持つパートナーが異なることから、複数のチャネルを組み合わせながら市場開拓を進めている。
業務提携通じサービス領域拡大へ
バックオフィス領域においてマルチプロダクト戦略を展開する一方、自社開発だけにこだわらず他社との連携も積極的に進めることで、サービス領域を拡大させている。例えば8月には、ROBOT PAYMENT(RP)との提携を発表。RPの「請求管理ロボ」のOEM製品として、債権管理システム「楽楽債権管理」(仮称)を12月以降に提供を開始する予定だ。
提携先の選定では、サービスの品質に加え、ラクスの顧客基盤や販売力を生かすことで、より多く価値を提供できるかを重視する。また、企業文化や顧客に対する考え方も重要な判断基準となる。
将来的には、顧客が複数ベンダーのサービスを管理する負担を減らし、できる限り少ない窓口から顧客を支援できる環境の実現を目指す。吉岡上級執行役員は「SaaS管理のサービスが生まれていることからも分かるように、企業の利用環境は複雑になりつつある。当社としては、一つの会社から複数のサービスを提供できたほうがいいと考えている」と話す。直販だけでなく、パートナー経由でもサービス提供体制の集約を図ることで、ユーザー体験の向上につなげたい考えだ。