NTTデータの子会社、NTTデータシステムズ（小島武雄社長）は、自社の国産ERP（統合基幹業務システム）「SCAW（スコー）」とアライアンスパートナーのセキュリティ製品などを連携させた「内部統制ソリューション」の提供を11月中にも開始する。年末までに公表される予定である「金融商品取引法」の内部統制に関連する「実施基準」に向け、ラインアップを整備した。また、内部統制に関連した「eラーニング」を提供するほか、コンサルティング会社との連携を拡充し、システム構築の上流工程から提案する仕組みを強化する。2008年度（09年3月期）には、「SCAW」関連売上高を年間200億円、新規700社への導入を目指す。

　今回の「内部統制ソリューション」は、「SICS（SCAW Internal Control Solutions＝シックス）」という名称で提供する。アライアンスパートナーのシステム監視ツールや帳票システムなどを連携させ、相互検証を実施したうえで体系化する。同社と契約するアライアンスパートナーは、現在12社。このうち、すでに「SCAW内部統制対応製品」として推奨しているものなどを組み合わせ、企業で「IT統制」に関連する内部統制を段階的に整備できるようにした。

　「SICS」に組み込むアライアンス製品は、NetIQのシステム監視ソリューション「NetIQ AppManager Suite」とインサイトテクノロジーの情報漏えい監視システム「PISO（ピソ）」のセキュリティ関連製品のほか、マクニカの企業情報資産を視覚化するシステム「My B3 Smart」やウイングアークテクノロジーの帳票開発ツール「Super Visual Formade（SVF）」などを予定。「『SCAW』で実現できていない内部統制関連の機能を他社製品で補う」（田野周・SCAW事業本部パッケージ事業部パッケージ営業部課長）と、「SICS」の連携製品を順次増やす計画だ。

　同社は、今年度（07年3月期）上期だけで、内部統制をテーマにした「SCAW」関連の製品説明会やセミナーを全国で32回開催。昨年度に比べ、5倍以上の回数を重ねてきた。

　「内部統制強化を理由にERP導入を検討する企業が確実に増えている。他社のERPと比較したうえで、『SCAW』を選択するケースが目立った」（田野課長）として、内部統制関連で急激な需要増を期待する。

　内部統制の必要性についての認知を高める目的で、見込み顧客に対し、ライトワークスの「eラーニング教材」を提供する予定。さらに、案件が発生した際には、内部統制強化に必要な計画・立案や実施・運用、BPR（業務効率化）などのアドバイスをするため、コンサルティング会社のレイヤーズ・ストラテジー・コンサルティングなどと組み、上流工程の取り組みを強化する。

　田野課長は「『SCAW』の導入数を増やすだけでなく、当社全体の案件を増やすために貢献できる制度づくりをしている。今年度中には、中部、関西・中国、信越・北陸、九州の4地区にあるSIerなどパートナーをグループ化し、営業、システム提案体制を築く」と、地域に応じたチャネル体制を敷く。また、「事務機ベンダーと協業し、地域営業を強化する」（同）と、大手プリンタ会社の地域販社と連携することも模索している。