業務ソフトウェアベンダーのビズソフト（大島敦社長）は、毎月の入出金を手帳感覚で入力するだけで収支管理ができる経理ソフト「ビズソフト 社長の経理ナビ」を全国量販店などで発売した。既存の中小規模企業向け会計ソフトとは異なる新しい分野の製品として、会計知識が不足する初心者向けに売り込む。同時発売した同社初の青色申告ソフトや会計ソフトとのパック版を含めた5タイトルで、店頭とダウンロードで初年度2万本の販売を目指す。

　「ビズソフト 社長の経理ナビ」は、会社経営者にとって重要な資金の現状把握や、遅れがちな「資金繰り対策・資金計画」を3か月先までグラフ表示できる。一般的な会計ソフトは、会計の勘定科目や借方貸方など仕訳の知識（複式簿記）が必要。だが、同ソフトは、カレンダー画面からお金の出入りをカード形式の入力画面に打ち込むだけで、データが収支予定表に反映される。

　この収支予定表は、1つのマス（セル）で予測値と実績値の両数値をもつことができる管理表。また、請求書や給与明細書、賞与明細書を会社のマークや社印を付けて印刷でき、データがそのまま収支予定表に自動転記されるので、請求書発行と同時に資金繰り計算も自動でできる。管理表や自動転記の機能は、現在特許申請中だ。

　昨年5月の「会社法」施行に伴って、資本金1円から会社を設立できるようになったが、ほとんどの場合、本業が忙しく資金の入出金管理を税理士などに“丸投げ”する企業が一般的。「その課題を解決するのが今回のソフト。会計の知識を必要とせず、請求書などを日々入力するだけで、資金管理ができる」（前田留見・管理部マネージャー）と、これまでにない機能の業務ソフトとして需要を期待する。

　同ソフトで生成したデータは、同社の「ビズソフト会計Ver.2.0」や「同青色申告」に取り込めるほか、店頭シェアトップの弥生の会計ソフト「弥生会計」に転送して高度な会計処理を行うことも可能。前田マネージャーは「会計事務所の関係者にこの『社長の経理ナビ』を見せたところ、記帳代行する前の作業が楽になると言っていた。会計事務所などが、顧問先企業に導入を促すことも期待できる」と、拡販に自信をみせる。

　同社は、オービックビジネスコンサルタント（OBC）と弥生の会計ソフト開発を請け負っていたワァットコミュが共同で立ち上げた業務ソフトベンダー。会計ソフトに月額課金制を導入し、必要なオプション機能を月額制で利用できるほか、他社にない製品戦略を採用するなど、業界で注目を浴びている。「社長経理ナビ」は、現在のところOBCの「奉行シリーズ」とデータ連携はできないが、将来的に連動することを検討している。