SIerのJBグループは、パソコンの保守サービス事業を立て直す。パソコンの低価格化が進むなか、保守サービス契約を結ばない顧客が急増。同事業の伸び悩みが課題となっていた。サーバーやIP電話などの保守・運用サービスメニューとの一体化やマルチベンダーへの対応を進めることで事業拡大を図る。

　JBCCホールディングスは保守運用サービスを専門とする子会社「JBサービス」を4月2日付で設立し、頭打ちになっていたパソコン保守事業の改革を実行する。

　まずは、顧客の情報システムの運用やヘルプデスクなどのサービスメニューとパソコン保守サービスを密接に連携させる。これまで運用サービスと保守サービスは担当する部門が異なり、連携が十分でなかった。JBサービスの発足によりサービス体系を一体化させ、付加価値を高める。

　パソコンの価格が下落したことで保守サービスの価格は相対的に割高になった。このためパソコン単体で保守サービス契約を結ぶ従来型のビジネスは、「限界が見えている」（JBサービスの古宇田武雄社長）と判断。情報システムの運用サービスなどと一体的に受注する体制を整えることで契約数の増大を狙う。

　JBグループは日本IBMのビジネスパートナーである関係から、これまでサーバーの保守サービスは日本IBMに委託するケースが多かった。しかし、自ら保守サービスを提供しなければ、パソコンを含めた情報システム全体をカバーする保守サービスメニューを構築するのは困難。このためサーバーの保守サービスに関してもJBサービスが直接提供する形態へ順次切り替える方針だ。

　グループ会社でSIerのシーアイエスやNSISSなどが提供する保守サービスも一部は日本IBMに委託しているケースもあることから、JBサービスへの移管を順次進めることも検討する。

　またIP電話やネットワークなどにも保守サービスを拡大することで、サービスメニューのカバー率を高める。これまでIBM製品を中心に保守サービスを提供してきたが、顧客が複数のベンダーからシステムを調達している現状を踏まえて、マルチベンダー化も進める。

　直近のパソコン保守サービス事業の売り上げ規模は約70億円だが、有効な対策を講じなければ今後2－3年で60億円を下回る規模に縮小する可能性もあるという。サービス体系を抜本的に見直すことで売り上げ増を目指す。