その他
沖電気、“ずれ”生じて連結赤字へ
2007/04/16 21:10
週刊BCN 2007年04月16日vol.1183掲載
課題払拭でV字回復を目指す
沖電気工業(篠塚勝正社長)が2006年度(07年3月期)連結業績予想を下方修正した。7300億円と見込んでいた売上高は7200億円の見通し。利益に関しては、営業損益150億円の黒字を60億円の赤字、経常損益80億円の黒字を140億円の赤字、最終損益25億円の黒字を380億円の赤字と見込んでいる。期初予想と大きく乖離した原因は市場の流れにそぐわない事業を手がけてきたためとしている。07年度は主力事業の課題を払拭し、黒字転換を目指す。果たしてV時回復は図れるのだろうか。(谷畑良胤(本紙副編集長)/佐相彰彦●取材/文)
■現状の認識不足で下方修正 大きな転換期を迎える
沖電気は報道関係者やアナリスト向けに経営方針説明会を開催。そのなかで、篠塚社長は「当社の事業をはじめ技術や商品が、ニーズやスピード、競合関係など市場環境の変化に“ずれ”が生じていたため」と、昨年度見通しの下方修正の理由を打ち明けた。原因は、事業推進力の弱体化、商品競争力不足、固定費の抑制不足などの現象が発生したこと。篠塚社長は、「大きな転換期を迎えている。グループ全体の総点検を行い、強固な競争力の再構築に向けて抜本的な改革を実施しなければならない」としている。
篠塚社長は、メモリ不況の影響で厳しい状況にあった98年6月に同社の再建を託されて就任した。以来、迅速で大胆な施策を次々と打ってきた。同年9月には中期経営計画「フェニックス21」を掲げ、DRAMからの撤退とシステムLSIへのリソース集中を実施。01年10月からの中期経営計画「フェニックス21飛翔」では、変革の加速と優良企業への成長を打ち出した。98年度から03年度までの6年間で社員の3分の1に当たる9000人の削減を断行。今ではコンピュータとネットワークの両業界で主流となりつつある“情報と通信の融合”にもいち早く取り組み、03年度には営業利益216億円と、前年度の16.6倍以上で初の200億円突破という快挙を成し遂げた。
しかし、最近では不振が続く。05年度は大幅な減収減益で、営業利益が105億円と前年度比61.1%減と半減。そこに、今回の下方修正だ。「現状の認識不足と言わざるを得ない」(篠塚社長)ということになる。
同社では、今年度連結業績で営業損益を80億円の黒字に転換させる計画。これを達成できなければ、現経営体制の真価も問われる。
■情報通信は事業の選択と集中 プリンタ事業は再編も検討
不振を打破するためには、事業自体の見直しが必要となる。そのため、同社では情報通信やプリンタなどの主力事業で「『強い商品』をベースとした『強い事業』を手がけていく」(篠塚社長)としている。
情報通信事業では、不採算ビジネスを再点検。営業利益率3%以下のビジネスユニットを精査する。同事業のビジネスユニット数は現段階で94で、これを今年度中に85まで減らす。また、次世代通信網インフラとサービスプラットフォームを中核の通信事業領域と位置づけ、金融や情報システムの分野に新しいサービスを提供することに力を注ぐ。これを達成するために3つのビジネスグループ(BG)を構成。「通信BG」「情報システムBG」「金融BG」の新体制で事業拡大を図る。
次世代通信網の領域では、来年度に売上高1000億円を目指している。そのため、昨年10月には開発組織を再編。本体に沖テクノクリエーションを吸収したほか、沖コムテックの技術者を出向させるなど、グループ間で分散していた開発体制の集結を実施した。加えて、これまで手が回らなかったモバイル端末の開発、市場投入も検討している。法人向け情報と通信の融合システム提供という点では、IPテレフォニー事業の拡大を徹底。一般オフィス市場にIPテレフォニーシステムが浸透していないという点から、大企業だけでなくSMB(中堅・中小企業)でも導入を促せるアプリケーションサービスを模索しており、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)やSIerなどを対象とした販売支援制度「Com@WILL(コムアットウィル)アプリケーションパートナープログラム」の参加企業を今年中に現状の2倍まで引き上げる計画を立てている。同社のSIPサーバーと連携したアプリケーションソフトのラインアップ拡充がユーザー企業拡大のカギを握るとの判断からだ。
情報通信は、最も“稼ぎ頭”の事業だ。同事業でコスト削減と顧客企業増加に向けた強化策を遂行すれば黒字転換が図れる可能性はある。
プリンタ事業では、収益向上策としてSMB市場にフォーカスし、ローエンドから高機能小型A3カラープリンタやMFP(デジタル複合機)などハイエンドの新製品を市場へ投入し、採算性改善と消耗品の収益拡大を狙う。
同事業の昨年度中間期は、営業損益が20億円の赤字と大幅に減益。競合他社と対等に戦ううえで、不足階層の製品群を拡充するための開発投資が大きく影響している。加えて、欧米やアジアで好調をキープするも、国内市場が不振であることも原因。2年前に立てた国内カラープリンタ市場での目標シェア20%は、半分程度の進捗状況とみられる。
事業主体になっている子会社の沖データは、「SMB向けにハイエンド機を売り込みたくても、当社の販売チャネルで必ずしもアクセスできると限らない」(前野幹彦社長)としている。そこで、これまでビジネス機会を損失する原因の1つとなっていたモノクロ機を含めた製品群を今年度中には確実に揃え、来年度に再度ディストリビュータチャネルの開拓を本格化する。
同社と同じLEDプリンタを生産・販売するカシオ計算機は、昨年10月に大手事務機ディーラーと手を組むことに成功し、全国販売網を構築した。昨年度は例年以上の販売台数を稼ぐことができた。一方、沖データは、カシオ計算機より先行して大塚商会やダイワボウ情報システム、丸紅インフォテックなどの販売網をつくってきたが、国内シェア拡大に弾みがつかない。SMB市場でハイエンド機のニーズが浮上していたことをつかめずにいたことが原因のようだ。
沖電気の篠塚社長は、プリンタビジネスについて「何をどうするかは顧客があるので、はっきり言えないが」としたうえで、「アライアンスなどで答えが出せるか検討する」と、プリンタ事業の再編も視野に入れているようだ。プリンタに対するニーズは、欧米と日本ではかなり異なり、エプソン販売なども「国内用途に製品化すると欧米で売れない」と悩む。
プリンタ事業は情報通信事業との連携性が薄く、相乗効果を生みにくいのが実情。V字回復の路線を描くため、プリンタ事業を再編して体制を立て直すことも必要になりそうだ。
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