ソフト、SIから見た省エネ活動も

　2月1日に「グリーンIT推進協議会」が発足した。産官学の有識者が協力し「ITの省エネ」と「ITを活用した省エネ」活動を通じて、地球温暖化対策に本腰を入れて取り組む。IT関連の省エネ推進体制が初めて整備されたわけだ。設立当初の会員企業は118社で、会員団体は15団体。一般的な協議会に比べスタート時の会員数は多く、「グリーンIT」に対する関心の高さが色濃く現れている。

　IT関連団体では電子情報技術産業協会（JEITA）ほか、情報サービス産業協会（JISA）や情報通信ネットワーク産業協会（CIAJ）、日本情報システム・ユーザー協会（JUAS）などが名を連ねる。会長にはJEITAの町田勝彦会長（シャープ会長）が就き、JEITA内に事務局を設置してスタートを切った。町田会長は設立総会で、「地球環境問題は社会全体の最重要課題」と説明し、グリーンIT推進協議会設立の重要性を説いた。

　今月から3つに分けた委員会で具体的な作業が始まる。5月下旬にはITの省エネ活動を国外に発信する「グリーンIT国際シンポジウム」を開催。そして、日本が議長国を務める7月7─9日開催予定の「洞爺湖サミット」を迎えるスケジュールだ。

　設置した委員会は、（1）啓発運動や情報発信の役割を担う「普及啓発委員会」（2）新省エネ技術の創出や技術ロードマップ作成の「技術検討委員会」（3）環境負荷低減の定量的調査・分析などを手がける「調査分析委員会」の3つ。省エネの必要性を訴え、新技術を創出しそれがどの程度インパクトがあるのかを調べるわけだ。

　設立総会には、甘利明・経済産業大臣が出席。「ITはほかで使う電力量を減らす効果があるが、その一方で、電力消費源にもなっている。IT自体の電力消費量も下げなければならない」と述べ、ITの省エネと、ITを駆使することによる省エネの両側面で取り組む必要性を訴えた。　　「ITによる省エネ」と「IT活用による省エネ」の両面で取り組まなければならない「グリーンIT」。「ITの省エネ」活動では、「IT機器」ではなく「IT」自体の省エネを推進する体制が求められる。つまり、ハードだけではなく、ソフトとそれらを組み合わせて情報システムを構築するSI力にも省エネを意識する必要があるということだ。

　IT機器であれば、サーバーやネットワーク機器などハードの省エネ技術だけを考えていればよい。ただ、IT全体（情報システム）のエネルギー効率を向上させるためには、ソフトやSI力も含めた省エネ対策を考えていかなければならないだろう。ハードの省エネは、コンピュータメーカーがすでに取り組みを開始し成果も出ている。早急に強化しなければならないのは、ソフトやSI分野にあるはずだ。

　あるSIerはこう明かす。「省エネ化はIT業界に身をおく会社として当然取り組むべきことだとわかっている。ただ、それが直接業績に結び付くわけではないから二の次、三の次になってしまう。SI面でも環境に貢献できることを具体的に業界団体などに示してもらえれば・・・」。　ハードだけに目を向けず、ソフトやSI力も含めた省エネ対策が、設立されたグリーンIT推進協議会には求められる。