サイバーステーション（福永泰男社長）は、遠隔ストレージソフト「ENBD（エンハンスド・ネットワーク・ブロック・デバイス）」についてその開発者であるピーター・T・ブリュア氏と提携し、災害時復旧システムにも対応するよう共同開発を行った。6月6日から「ENBD日本語公式サイト」を立ち上げ、提供開始した。同社は今後、ハードウェアメーカー、インターネット・データセンターなどとアライアンスを進め、サービス、製品の共同開発を進める。

　同社はENBDの日本語版公開に次いで、今年8月から導入支援サービスを提供開始するほか、アイ・オー・データ機器、ソフトバンクIDCとアライアンスを組み、製品やサービスの共同開発を進める。今後もハードウェアベンダー、インターネット・データセンターやサービスプロバイダなど、アライアンス・パートナーを拡充していく計画だ。

　企業は災害や盗難など、さまざまなリスクに対し、事業継続性を確保するための対策が必要とされている。経済産業省では2005年に「事業継続計画策定ガイドライン」を公開し、また中小企業庁でも06年に「中小企業BCP策定運用指針」を公開するなど、BCP（事業継続計画）の普及、促進を進めてきた。だが、DR（災害時復旧）システムは高額な構築費用がネックとなり、金融など大手企業での導入にとどまっていた。

　同社に中小企業の実情を聞いてみると、「保有するデータは中小企業でも年々多くなっており、それにつれてリスク回避の対策が求められるようになってきた。データを保管するストレージ自体は大容量化、低価格化が進んできたものの、DRのシステム構築が高額であるために普及が進んでいない」（福永社長）と課題をあげる。同ソフトの提供により、低コストのDRシステムの構築が期待できる。

　ENBDは、遠隔ネットワーク上にあるHDDを仮想的にローカルHDDとして認識させ、RAIDを構築することができるソフトで、リアルタイムにデータ同期させることを可能にした。また、複数台のHDDへデータを分散してバックアップすることもできる。専用線を必要とせず、ブロードバンド回線で構築が可能となっている。

　ENBD開発者のピーター・T・ブリュア氏は、LinuxカーネルのRAIDやNBD（ネットワーク・ブロック・デバイス＝遠隔にあるHDDをローカルとして認識する技術）開発に携わった人物で、ENBDは同氏らが2000年より始めたプロジェクトである。