ユニークなデザインとマーケティング

　バーコードで連想するのは、菓子袋の裏、薬のパッケージ、果てはオヤジの頭などなど。さまざまなものに付与された縞模様である。このバーコードよりも情報量が多く、トレーサビリティなどでも利用されているのが二次元コードだ。

　二次元コードといえば、いまやすっかり定着したQRコードは1994年にデンソー（現デンソーウェーブ）によって開発されたものだ。一見すると正方形の白と黒の幾何学模様に見える。この正方形の隅には位置を検出する印がついていて、中のコードを読みとる。カメラ付き携帯電話にはQRコードのリーダー機能があり、URLを入力しなくても簡単にサイトに飛ぶことができる。表示できるものであれば媒体を選ばない二次元コードは、紙媒体から携帯へ、またPCから携帯へのクロスメディアに有効な手段だ。

　このところ、QRコードの興味深い使われ方や見せ方が増えている。一つはQRコードにイラストや写真を埋め込む「デザインQR」だ。05年8月設立のベンチャー企業、ITDesignが手がけている。社会に普及し始めたQRコードの模様がどれも同じように見えることに着目。当時の佐藤潔之社長（現副社長）が「この模様のなかにイラストが入らないものか」と考えたのが、きっかけだったそうだ。このデザインQRを使い、同社はさまざまなメーカー、コンテンツプロバイダとユニークなサービスを共同で開発・展開している。

　例えば昨年4月には、博報堂DYグループ i─ビジネスセンターと共同でQRコードに動画を埋め込んだ「ムービーQR」を開発したほか、映画の配給会社と組んだプロモーションでは、主要都市の商業施設に、同社のデザインQRを埋め込んだトイレットペーパーを設置し、クチコミ効果を狙った「トイレジャック」も売り出した。最近では、お墓やレンタル自転車、アンケートシステムと連動したサービスも行っている。

　幾何学模様から脱し、黒、緑、赤、青の4色から成る配列を読み取るのが、「カラーコード」だ。もとは韓国のカラージップメディア（イ・サンヨンCEO）が開発したもので、事業権を獲得したのが04年設立のカラージップジャパン（朝田康幹代表取締役）だった。色の使い方次第では、コード自体をイラストに見せるようなデザインも可能だ。同社では法人や個人に向けてこのカラーコードを提供しているほか、大手周辺機器メーカーと協業して同コードを読み取り可能なマウスを開発した。さらにアドビシステムズなどと普及のためのアライアンスを結ぶなど、積極的に展開中だ。

　同社のコードは東京都の取り組みである「東京ユビキタス計画・銀座」でも採用されていた。同実験は情報端末「ユビキタス・コミュニケータ」を持って街を散策すると、道案内など、さまざまな情報を引き出すことができるもので、今年3月まで行われていた。携帯電話でそれらの情報にアクセスする際に使用されたのが二次元コードだ。

　二次元コードだけを考えると長い歴史があるようにも思えるが、それを使ったサービスや見せ方についてはまだまだ開拓の余地がある。新しいアイデアが続々と生まれそうだ。