ストレージ専業メーカーのニューテック(笠原康人社長)は、自社製品をベースとした低価格コンピュータインフラの提供でSMB(中堅・中小企業)の開拓促進に踏み切った。このほどNECのグループ会社と協業し、サーバーとストレージをパッケージ化した。この製品をニューテックとNECグループの販社を通じて拡販していく方針だ。
サーバーとのパッケージ提供へ
ニューッテックがNECグループ会社との協業でこのほど市場投入したのは、NEC製サーバーの「Express5800」シリーズと、ニューテックのストレージ機器「Supremacy RAID」シリーズを組み合わせたもの。ユーザー企業の要望に応じてNEC製クラスタリングソフト「CLUSTERPRO」の搭載も可能になっている。パッケージ化した理由について、ニューテックの柳瀬博文・営業本部営業技術部長は、「お互いの販売パートナーが売りやすいパッケージを提供することで、SMBのリプレースを煽るため」と語る。
NECの販社にとっては、「Express 5800」を売るうえでネックになっていたのがストレージである。NEC製ストレージを組み合わせると価格が高くなってしまうためだ。ユーザー企業がサーバーだけを購入するケースが多いという。そのネックを解消するために、低価格を武器とするニューテック製品と組み合わせたことになる。
一方、ニューテックの販社にとっては、ストレージだけのアプローチでは需要を掘り起こせないことが課題。「当社の製品は低価格だが、ブランド力が低いためにユーザー企業の信頼を得るのに時間がかかっていた」と打ち明ける。知名度の高いNEC製サーバーと互換性が高いことをアプローチしていけば、ユーザー企業の信頼を獲得して導入に結びつくと判断したわけだ。
販社のユーザー企業に対するアプローチ方法については、パッケージでの提供に加え、当面はNECが「Express5800」シリーズを納めている既存ユーザーにニューテック製品を提案し、ニューテック側が「Premacy RAID」シリーズのユーザーに対してサーバーのリプレースをアプローチすることになるとみられる。「CLUSTERPRO」の販社がサーバーとストレージを組み合わせたシステム提供を手がける可能性も十分にある。また、「他社のサーバーとストレージとの組み合わせに比べて格段に安い。コスト削減という観点で、パッケージで導入するケースが多くなるはず」と柳瀬部長はみている。
「Supremacy RAID」シリーズの特徴は、搭載可能ディスクとして遅延時間を解消するSSDに対応していること。オプションとして、きょう体間ミラーリングで障害時でもデータアクセスの継続が可能な機能をこのほど追加した。きょう体間ミラー機能の価格は30万円に設定している。
最近では、データアクセス時間の短縮やDR(事業継続性)などがSMB市場で求められるケースが多い。ただ、SMBがこうした問題を解決できないのは、価格が高いことが原因の一つになっている。これをニューテックがNECというブランド力を武器に拡販体制を整えて普及を図るわけだ。SMBをユーザー企業として獲得するため、市場での価格戦略に一波乱起きそうな雰囲気だ。(佐相彰彦)