中堅SIerのSJI(李堅社長)は、中国大手SIerのデジタル・チャイナ・ホールディングス(HD)と組み、中国市場の開拓を本格的に進める。デジタル・チャイナHDが中国でもつ強力な販売・SIサービス力によって、SJIのソフトサービス商材の拡販につなげる。SJIは、中国進出に積極的な他の国内SIerからも出資を受け入れるなどして、内外のパートナーシップを強化。中国の旺盛なIT需要を取り込むことでグローバルビジネスの拡大を狙う。
SJIは、デジタル・チャイナHDグループやこの関連会社などから株式の約4割を占める出資を年内をめどに受け入れる。SJIには、SRAホールディングスなども一部出資。今回のデジタル・チャイナHDとの資本業務提携によって、SJIを媒介とした“日本から中国市場へのIT商材の流れ”の形成を目指す。デジタル・チャイナHDの年商は約400億人民元(約5200億円)。日本のITベンダーで喩えるならば、“大手SIerのNTTデータと大手ディストリビュータのダイワボウ情報システムを合算したようなポジションを占める”といわれる。ハード・ソフト商材の販売力と、SI・サービス力の両方を兼ね備えた有力SIerだ。

デジタル・チャイナ・ホールディングスの郭為CEO(左)とSJIの李堅社長 中国は、世界同時不況に突入した後にも粘り強く経済成長を続け、IT投資も拡大基調にある。金融や産業、公共、医療などの各方面の大型プロジェクトが相次いでおり、デジタル・チャイナHDは、「中国国内向けのビジネスに集中する」(郭為CEO)と、当面は自ら進んで日本などの海外市場へ打って出ることはないとコメントする。
振り返って日本の情報サービス市場は成熟しており、大きな伸びは期待できない。郭CEOによれば、現在中国では、電力送電網をインテリジェント化する中国版スマート・グリッドで約1兆元(約13.2兆円)、医療で1000億元規模の投資が計画されているといい、デジタル・チャイナHDでは、これに保険などの金融分野も含めて、国内外の優良商材・技術を結集。自身の受注拡大を狙う。
SJIは、こうしたデジタル・チャイナHDの需要と、成熟市場を抜け出して海外へ積極的に進出したいSRAホールディングスのような国内SIerとの「橋渡し」(SJIの李堅社長)の役割を担うことでビジネスを伸ばす。例えば、日本からソフト・サービス商材を中国へもって行く場合、現地の法制度や商慣行に合わせるためにカスタマイズが発生する。これをSJIが中国に抱える開発拠点で請け負う。国内SIerからみれば、最小限のパワーで、SJIの開発リソースと、中国大手SIerのデジタル・チャイナHDの販売力を生かした“レバレッジ効果が高い”ビジネスが可能になるわけだ。デジタル・チャイナHDの郭CEOは、「日本のソフト・サービスビジネスを中国で成功させるには、当社のようなパートナーが欠かせない」と、優良商材の発掘に意欲を示す。(安藤章司)