その他
札幌市のITベンダーら「Surface」を民間レベルで事業化へ
2010/02/18 21:10
週刊BCN 2010年02月15日vol.1321掲載
札幌市のビズポイント(大野真澄社長)と、つうけんアドバンスシステムズ(石井茂喜社長)を中核としてITベンダー数社とNPO法人札幌市IT振興普及推進協議会(UNISON)は、マイクロソフトが開発したテーブル型のパソコン「Microsoft Surface(サーフェス)」を活用して地域向け新サービスの事業展開を検討している。マイクロソフト日本法人は、米本社が本国で提供を表明している「Surface」の日本への投入を、現段階まで明らかにしていない。同社が札幌市の「札幌イノベーションセンター」に試験的に貸し出している「Surface」を市内ITベンダーが検証機として使い、アプリケーション開発などに利用する。将来的には、市内の公共施設などに配置しコンテンツ配信などの事業を開始する計画だ。
早期の全国展開を目論む
「Surface」の事業化を検討しているのは、市内の独立系SIer(システムインテグレータ)と、全国展開する通信系SIerの札幌拠点、NPO法人などで組織する「Surface研究会」。同研究会は、定期的に会合を開いてアイデアを出し、具体的な施策を検討中だ。2月中には、地元スポーツ団体の宣伝コンテンツを「Surface」で配信する施策を、同団体へ提案する予定。
同研究会関係者は、「世界が注目する『Surface』の事業化に成功すれば、先行して全国へ展開できる」と期待を込める。「Surface」というキーデバイスを利用し、市内ITベンダーのビジネスを拡大できると考えているのだ。
「Surface」は、米マイクロソフトが2007年5月に次世代端末として発表している。テーブルのような形状で、天板の部分に大画面のタッチパネルを搭載。天板上に置かれた物体を識別し、情報の連携ができる。複数の人が同時に画面上に表示されたメニューや画像などを触れたりなぞったりすることもでき、データ表示や移動操作が可能だ。また、モバイル端末を天板上に置けば、その端末データを「Surface」上に表示する。米マイクロソフトでは、主にホテルのロビーなど公共空間に提供を拡大しようとしている。
同研究会は第一弾として、スポーツ団体の試合日程や選手紹介、ノベルティグッズなどを紹介する端末を、駅や観光地、図書館、書店などの公共施設に配置することを検討している。このほか、地震など災害地点からの影響度を知らせる端末としての利用や観光コースを知らせる地図情報、モバイル端末の加速度センサーやICチップを活用し、地域の商業施設用のポイントを付与するなどのアプリケーションを開発するといった案が参加者から出ているようだ。
こうした案が実現し、「Surface」利用の認知度が高まれば、札幌での導入に続いて、人気の観光地である京都などへ同様のソリューションを「横展開」するなど、他のITベンダーより早く全国展開できるとみている。札幌市は、第三の産業としてIT産業を地域活性化の一環で強化している。同イノベーションセンターのイベントで「Surface」が展示された際には、上田文雄・札幌市長が来場し、同端末を利用したIT産業の広がりに期待を表明したという。
北海道IT推進協会がまとめた「北海道ITレポート2009」によると、道内IT産業の売上高は、08年時点で4187億円に達している。このうち札幌市内は、88.7%の3713億円を占めている。同市長は、市内IT産業を1兆円産業にする方針を掲げている。
【関連記事】新たなビジネス創出の起爆剤か
「Surface」が秘める可能性は
東京・新宿にあるマイクロソフト日本法人の受付ロビーでは、同社が構想するITを活用した未来像を描くビデオが常時放映されている。このなかで、オフィスのデスクや公共施設に設置されたテーブルのような端末を叩き、情報処理や交換をする描写が出てくる。「Surface」は、ここに登場する未来型のテーブルの原型といわれている。
「Surface」の日本投入時期などについて、日本法人は一切の口を閉ざしている。現在、「Surface」は東京・大手町の同社「大手町テクノロジーセンター」と「札幌イノベーションセンター」の2か所に、それぞれ1台を置いているだけのようだ。
マイクロソフトにとって札幌市は、自治体とも提携するほどの強化地区であることもあって、「Surface」を貸し出している。これを見てビジネスチャンスと捉えた市内ITベンダーが事業化を考え、民間レベルで「Surface研究会」を立ち上げた。
「Surface」は、WindowsOSで動く。Windowsベースの開発に慣れたITベンダーであれば、これを活用したアプリケーションやソリューションの開発が容易だ。国内には、Windowsベースの開発に長けたITベンダーが多い。このため、「Surface」は新たなビジネスを創出することができると注目されている。
日本法人は、札幌市での活動を公式に認めていないほか、日本への正式な投入時期も伏せたままだ。サポートや支援体制が確立されていないことが背景にあるようである。
ただ、持ち運べる情報端末としてアップルの「iPad」が発表されるなど、「Surface」と同じような用途で使える端末が登場している。一方、国内では、社会インフラとして「デジタルサイネージ」のビジネスが花開きつつある。この狭間でビジネスモデルができれば、「Surface」のアプリケーションを開発できる技術者は多いので、大きなうねりになる可能性がある。(谷畑良胤)
札幌市のビズポイント(大野真澄社長)と、つうけんアドバンスシステムズ(石井茂喜社長)を中核としてITベンダー数社とNPO法人札幌市IT振興普及推進協議会(UNISON)は、マイクロソフトが開発したテーブル型のパソコン「Microsoft Surface(サーフェス)」を活用して地域向け新サービスの事業展開を検討している。マイクロソフト日本法人は、米本社が本国で提供を表明している「Surface」の日本への投入を、現段階まで明らかにしていない。同社が札幌市の「札幌イノベーションセンター」に試験的に貸し出している「Surface」を市内ITベンダーが検証機として使い、アプリケーション開発などに利用する。将来的には、市内の公共施設などに配置しコンテンツ配信などの事業を開始する計画だ。
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