2005年、人間中心の情報システムを志向し,ビジネス・研究領域の融合や情報システム人材の育成を目的にスタートした情報システム学会(ISSJ)。今、力を注いでいるのは、参加メンバーのITメーカーやSIerなどが「ビジネスに直結する」ことだという。今後、どのような方向に進むのか。竹並輝之会長(新潟国際情報大学情報文化学部情報システム学科教授)に聞いた。(佐相彰彦●取材/文)
──情報システム学会の特徴をお教えください。
竹並 ISSJは、技術的なシステムではなく、人間活動を含んだ社会的なシステムの実現を目指しています。その意味では、「情報システム」とは、情報処理学と経営情報学との中間的な学問として位置づけられるものです。

竹並輝之会長
──「人間活動を含んだ社会的なシステムの実現」とは、具体的にどのようなものですか。
竹並 利用者にとって、真に有用で安全な情報システムを構築していくことが最も重要だということです。この実現のために、ITベンダーだけでなくユーザー企業なども参加メンバーとして募っています。
──現在、力を入れていることは何でしょうか。
竹並 利用者に対して安全な情報システムを構築していきながら、提供側にとってもメリットになるような活動です。メーカーやSIerなどが実ビジネスとして取り組むなかで、ITユーザーが望んでいるシステムを提供することに重きを置いています。
──実ビジネスに結びつけるために取り組んでいることは?
竹並 大手メーカーやSIerなどのユーザーを対象にした研究会の実施をはじめ、組織や運営などの体制整備を進めています。とくに研究会に関しては、参加企業が自社ビジネスに関するヒントや洞察を得る機会と捉えていますので、積極的に行っています。また、新しい動きを研究する企業会員をさらに増やしていきたいと考えています。
──今後、学会はどのような方向に進まれるのですか。
竹並 今は任意団体ですが、近い将来に社団法人化を目指します。年内をめどに実現したいと考えています。
──ありがとうございました。