日立電線(今井光雄社長)は、イーサネットスイッチ「APRESIA」シリーズの新製品として、世界初となる40ギガビット(40G)ポートを搭載したボックス型スイッチを開発した。製品の市場投入は2011年2月末と、まだ先だが、他社に先駆けて次世代製品の開発をアピールすることで国内市場での地位確立を目指す。
他社に先駆けた開発をアピール
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| 辻正明執行役 |
市場投入することを予定しているのは、「Apresia15000-64XL-PSR(64XL)」と「Apresia15000-32XL-PSR(32XL)」の2機種。「64XL」は40G対応アップリンクポート2個、1Gや10Gに対応したSFPやSFP+のポート64個を2Uサイズに実装したことが特徴となっている。「32XL」は「64XL」の半分のサイズという位置づけとなる。また製品投入の時点で、クラウド時代のネットワーク環境として注目を集めているストレージ新規格「FCoE」、FCoEを実現するための新しいイーサネット技術規格「DCB」、仮想サーバー環境に対応した機能の搭載を計画している。
両機種ともに、コアスイッチとして法人市場で拡販していくためのものだが、「このところ、データセンター(DC)においてインフラの増強が進んでいる。そのニーズに対して確実に応えられる製品に仕上げた」(辻正明・執行役 情報システム事業本部長)としている。来年2月末の市場投入ではあるが、「現段階でDCを中心に需要を掘り起こしている。話を持ちかけると前向きに検討してくれる」と自信をみせている。
同社はイーサネットスイッチとして「APRESIA」シリーズを03年に発売して以来、通信事業者の広域イーサネットサービス向けや、一般企業のLAN向けなどに拡販してきた。直近では、ギガビットに対応した「Apresia13000」シリーズを市場投入。ボックス型スイッチをコアスイッチとして活用することで、ネットワークの効率化を図ることができるといったコンセプト「BoxCore」を打ち出した。ネットワークインフラの幹線部分としてシャーシ型を使う概念を根本的に覆したわけだ。今回の新製品では、次世代インフラ標準の40Gにも対応した。
新製品の投入効果について、辻執行役は「昨年度(10年3月期)は『APRESIA』シリーズで80億円規模の売り上げだったが、まずは今年度で130億円まで引き上げられると思う。新製品に関しては2月に発売予定ということもあり、来年度からが本格的な販売だが、DCが前向きな姿勢をみせていることから市場投入と同時に案件を獲得するなど、早期に売上増を果たせるのではないか」と試算する。
ネットワーク関連業界は、海外メーカーの勢いが強いとの見方が出ている。日立電線が、世界初という他社に先駆けた取り組みをアピールしている姿に、国産ベンダーの意地をみることができる。(佐相彰彦)

2011年2月末に発売予定の「Apresia15000-64XL-PSR」(写真上)と「Apresia15000-32XL-PSR」