ソフトバンク・テクノロジー(石川憲和社長)は、クラウド関連事業の本格化を図る。「Share IT!」という名称でクラウド型モデルの提供を推進。シリーズの第一弾として、6月24日に大容量ファイル共有サービス「Share IT! Fits」を開始した。このサービスで、まずは中堅企業を中心に顧客開拓を進める。今後も、「ビジネスコミュニケーション」を切り口にサービスのラインアップを拡充。ユーザー層を広げていく方針だ。
 |
| 丸山耕市 執行役員 |
「Share IT! Fits」は、「メール添付の制限で大容量のファイルを送ることができない」「フリーのファイル転送サービスを利用するのはセキュリティ面で抵抗がある」などといったユーザー企業の課題を解決するために提供することになったサービスである。トライポッドワークスが次世代オンラインストレージと位置づけて提供しているアプライアンス「GIGAPOD OFFICEHARD」の機能をクラウド化したものだ。ソフトバンク・テクノロジーは、トライポッドワークスの販売代理店として同アプライアンスを販売している。「ハードウェアに加え、サービス化でユーザーの幅を広げる」(丸山耕市・執行役員プラットフォーム事業部長)との考えで提供することになった。
他社のクラウド・サービスと異なるのは、独立したサービス環境を提供していること。仮想化環境で、他のユーザーと同じ環境を共有するのではなく、専用の環境として使えるという利点がある。サービスメニューは、ユーザー(ID)数に合わせたディスク容量を提供しており、最小構成が20IDで5GB、月額料金2万9800円に設定。セキュリティ面では、WAF(ウェブ・アプリケーション・ファイアウォール)によって、ぜい弱性を狙った攻撃や情報漏えい防止も施している。また、情報セキュリティプロフェッショナル資格「CISSP」を保有したコンサルタントによる定期的なぜい弱性診断も行う。
ユーザー対象については、「500人以上の企業がボリュームゾーン」という。この規模が「コンプライアンスを意識している傾向が高い」ことに加え、ほかのサービスですでにこの規模のユーザー企業を確保しているからだ。ユーザー企業数については、「1年間で200社を獲得する」方針を示している。サービス拡充では、「業務を円滑にする“ビジネスコミュニケーション”をテーマにラインアップを増やしていく」としている。
同社がクラウド・サービスの拡充に踏み切ったのは、「広い範囲でユーザー企業を増やしていく」ため。現段階では既存顧客によるIT投資意欲の活性化を図ることが目的だが、新規顧客も開拓していく。拡販にあたって「ほかのSaaS事業者と連携する」としている。クラウド・サービスを切り口に、多くのアライアンスを進めていくことが最大の狙いだ。(佐相彰彦)