沖電気工業(OKI、川崎秀一社長)は、日本インフォア・グローバル・ソリューションズのERP(統合基幹業務システム)「Infor ERP LN」(旧Baan)と東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)のERP「MCFrame」の拡販に注力してきた。ここにきて、独自開発したスマートフォン向け業務アプリケーション開発基盤「MoBiz Platform」ベースのソリューションやコールセンターシステム「CTstage」を拡販し、製造業ユーザーにさらに訴求する意向を示している。
OKIは、プリンタ事業のほか、ICカード・生体認証機能付きATMや海外市場向けATMを開発・販売するシステム機器事業などを展開している。これまで、自社への基幹系システムの導入経験やノウハウをユーザーへの提案活動に横展開してきた。
日本インフォア・グローバル・ソリューションズのERP「Infor ERP LN」の自社導入を検討し始めたのは1994年。第一号となったのがOKI本庄工場で、これが97年のことだった。以降、OKI高崎工場やOKI沼津工場などへの導入で実績を重ね、同社や関連会社を除くユーザー数は20社を超える。
一方、東洋ビジネスエンジニアリングのERP「MCFrame」は関連工場への導入が中心。沖電線や長野沖電気が導入した実績があり、07年の納入と、比較的新しい。畑ヶ山浩幸・ソリューション&サービス事業本部情報システム事業部事業部長は、「現在、世間では更改の時期を迎えていて、当社では『MCFrame』の導入を進めている」と話す。現在は、大規模工場では旧Baanが稼働中で、「これをどうするか検討中」だという。
同社は、製造業向けの生産管理システムの構築には長けているが、一方で会計システムの構築は苦手としてきた。SAPビジネスも手掛けているが、「あまり積極的には展開していない」(畑ヶ山事業部長)のはそのためだ。
目下の目標は、業務系パッケージ全体で、年間20億円強の売上達成。「MCFrame」を中心に売り上げを伸ばし、3年間で2倍の40億円強の規模にする計画だ。大手企業のグループ企業をターゲットに納入を進める。さらに、保守のソリューションラインアップを充実させて売上伸長を狙う。なかでも「MoBiz Platform」は現在売り出し中の有望商材だ。会計・製造・販売などの業務に保守を加えたトータルソリューションで付加価値提案を行う。
保守サービスを主事業とするOKIカスタマアドテックと、「MoBiz Plat form」をベースに、カスタマエンジニア(CE)用のツールとしてスマートフォンを活用した「@スマートCEシステム」を共同構築。全国のCE、1200人へのスマートフォン配布を開始した。バックオフィスとの迅速な情報共有で高いサービス品質を提供できると見込んでいる。「MoBiz Platform」の販売開始は09年で、まだ実績は乏しいが、スマートフォン向けビジネスは盛り上がりをみせており、期待は大きい。まずは、自社グループで導入を進め、横展開していく。(信澤健太)