今年、BI製品「IBM Cognos」を取り扱う老舗リセラーの4社が集まって「BEC(BI Expert Club)」を設立した。「BEC」では、メーカーと地域販社の間に老舗4社が入り、地域リセラーへの技術サポートを行うとともに製品面の要望をメーカーに伝える。4社はリセラーへの技術提供によって中堅市場を活性化し、将来的な自社のビジネスチャンス拡大を狙う。
BI製品を販売するパートナーコミュニティである「BEC」は、今年8月に日本情報通信を主幹企業として、クロスキャット、ジール、ブレインチャイルドなど、IBMが買収する以前からCognosを中心とするBIシステムを構築してきた老舗4社で発足した。4社ともIBMが特定ソフトウェア製品を取り扱うパートナーの技術や設備、経験を認定する「Software ValueNet」の資格をもっている。
このところ、中堅市場に特化したBI製品が登場し、ビジネスチャンスのすそ野が広がっている。しかし、特有のスキルやノウハウが必要とされるため、市場のニーズは高まっているものの、中堅企業にはなかなか浸透していないのが実情だった。そこで、リセラーのスキルやノウハウ不足を、老舗リセラーが「サポートメンバー」として、提案・構築・技術支援で補完する形をとって販売を促す。あわせて、日本情報通信は製品のディストリビューション機能も担う。メーカーはサポートメンバーには技術提供、リセラーには営業・マーケティングを提供し、中堅企業へのBI浸透による市場活性化を図る。とくに「地域では長年にわたってユーザー企業と取引し、ユーザーの抱える課題を理解しているSIerがいる。BI導入によって解決、改善できる場合には、ともに提案していきたい」(日本情報通信 SIサービス事業部ソリューションコンピテンシーセンターの内藤剛センター長)という。
これまでBIは大企業での導入が圧倒的に多かったが、大手SIerをプライムとしてBI開発の部分でBI専業ベンダーが携わるスタイルが中心だった。大規模企業のシステムでは、価格競争の波が訪れてオフショア開拓なども行われている一方で、BI自体に対する要求が複雑化、高度化している。
BIを得意としてきたサポートメンバーにとって、リセラーを支援していく目的は「短期的には、リセラーに対する技術支援などが中心になるが、中長期的に市場が活性化すれば、自分たちのビジネスチャンスが拡大することが一番の理由」(内藤センター長)だという。
リセラー、メーカーとの結束力を高めて中堅市場を開拓する取り組みによって市場のアドバンテージが取れるかが注目される。BIという言葉自体が漠然としているのがネックでもある。とくに下のレイヤーにいくほど、ITに詳しいユーザー企業の担当者は減っていく。拡販のためには、いかに簡潔に理解してもらうか、リセラーと共に取り組むこともBECの重要な仕事になりそうだ。(鍋島蓉子)