ピー・シー・エー(PCA、水谷学社長)は、東海4県(静岡、愛知、岐阜、三重)と北陸3県(石川、福井、富山)を営業地域とする中部営業部を2010年12月に新設した。中部営業部の新設に伴い、愛知県名古屋市に名古屋支店を開設。これによって、近年みられるパートナーである販売店のグループ再編や商流の変化に対応する。販売店に対して、全国一律の支援体制を敷くことが可能となった。
商流の“中央集権化”に対応
東海・北陸地区は、従来はナゴヤピーシーエーが地域密着型で営業活動を展開してきた。いわば「総代理店のような位置づけ」(PCAの川島俊夫・常務取締役中部営業部長名古屋支店長)で、「PCA商魂」「PCA商管」の開発も担うメーカーとしての性格をもち合わせていた。
一方PCAは、主要製品のほとんどを開発しており、東日本・西日本の二営業部体制で、ユーザー企業や販売店を支援してきた。一方で、東海・北陸地区に関しては、ナゴヤピーシーエーに販売店などへの支援を委託する必要があった。
しかし、「1980年代後半から地域密着型で展開してきた販売活動に歪みが生じてきた」(川島常務)こともあって、営業体制の刷新を迫られていたという。
全国に広がる販社網を再編する動きは大手プリンタメーカーなどでよくみられ、東京などの本社で集中的に製品の仕入れを行う仕組みに変わりつつある。この結果、大手パートナーの地域販社などが独自に製品を仕入れていた頃と比べ、ナゴヤピーシーエーを経由する商流が弱まる傾向にあった。“地域密着”から“中央集権”の動きに対応する必要があったわけだ。
「時代に合わせて変化する」(川島常務)ために、2010年11月1日、PCAはナゴヤピーシーエーから営業業務の移管を受け、中部営業部の新設に向けて準備していた。
川島常務は「メーカーとして、全国の販売店を直接支援できるようになった」と話す。豊嶋真・中部営業部次長兼名古屋支店支店長代理も「全国共通のサービスを展開できるようになった」と利点を挙げる。
東海・北陸地区は、ナゴヤピーシーエーが営業活動を展開してきた経緯があって「PCA商魂」「PCA商管」の導入実績が豊富。PCA製品の導入企業数は数万社に達している。PCAとの間で営業業務の移管による経営資源の最適化を図ったことで、販売ノウハウや互いの得意分野を共有することが可能になるはずだ。「全国で人事交流ができるようになる」(川島常務)というメリットも生まれる。
今年2月には、「PCA 9V.2R7シリーズ」の後継製品である「PCA Xシリーズ」の販売を順次開始している。営業体制を刷新に踏み切ったことで、「Xシリーズ」の販売に弾みがつきそうだ。(信澤健太)