電源やスイッチなど、電子部品探しのデータベースとして活用できる製造業/建築業向けの会員サイトを運営しているイプロス(岡田登志夫社長)。ここ数年、サイトに登録する人の数が急増して、トラフィック量が拡大してきたことによって、サイトのインフラ基盤を強化する必要に迫られた。そこで、2010年、インターネットイニシアティブ(IIJ)のクラウド・コンピューティングサービス「IIJ GIO」を導入することとなった。
イプロス
会社概要:センサなどを製造するキーエンスの100%子会社として2001年に設立。製造業や建設業の会員に対して、情報公開を行うデータベースサイトを企画・開発・運営している。従業員数は44人(2010年8月現在)。
サービス提供会社:インターネットイニシアティブ(IIJ)
プロダクト名:IIJ GIOコンポーネントサービス
「IIJ GIO」の概要
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インターネットイニシアティブ営業部 高柳淳彦課長代理 |
イプロスが運営する会員向けサイトは、急成長を遂げている。ここ数年、ユーザー数が急増し、現在、約35万ユーザーに達している。同社は、5年後をめどに、月間1億ページビュー(PV)を目指していくといったように、速いスピードでビジネスの拡大に取り組んでいる。同社にとって、事業を拡大するうえで必要不可欠となるのが、大量のアクセスにも対応できるサイトの強力なインフラ基盤である。
イプロスVAセクションの山口隼也チーフアーキテクトは、「今後見込んでいるトラフィック量の拡大に対応するために、2年ほど前にインフラ基盤の刷新を決めた」と話す。これまで自社サーバーをデータセンターに置いてサイトを運営してきた同社だが、このモデルでは、サーバーの増強に柔軟性がなかったり、ラックの追加に大きなコストがかかったりすることから、クラウドサービスの導入を視野に入れたという。選定したのは、以前からつき合いがあったインターネットイニシアティブのHaaS/Iaas型の「IIJ GIOコンポーネントサービス」だ。このサービスは、IIJが展開するクラウド・コンピューティングサービス「IIJ GIO」の一種で、ベースサーバーやサーバーアドオンの各ITリソースを自由に組み合わせて、最適な環境を構築することができる。
イプロスがIIJのクラウドサービスを導入するにあたって、まず必要だったのは、同社の岡田社長を説得することであった。山口チーフアーキテクトは、「当時は『クラウド』という言葉がまだはやり始めた頃で、社長はクラウドサービスのセキュリティ面を心配していた。『サイトは当社の事業の柱だから、冒険はしたくない』と、最初は導入に反対した」(山口チーフアーキテクト)という経緯があった。そこで、山口チーフアーキテクトとサイト刷新のプロジェクトメンバーである今井拓也氏は、直属の部長とともに、「IIJ GIOコンポーネントサービス」のすぐれた拡張性や強固なセキュリティなどを前面に押し出して、積極的にクラウドのメリットを訴求しながら社長の懸念を払拭し、納得してもらったという。
イプロスは2010年2月に「IIJ GIOコンポーネントサービス」の導入を決定。5月に導入作業を開始して同年の11月にはサービスが本格稼働した。イプロスは、2010年から「IIJ GIO」を本格的に展開するIIJにとって、サービスの導入を決めた5~6番目のユーザー企業だった。IIJ営業部の高柳淳彦課長代理は、「提案の最初の段階では、サービスにまだ完成していない部分があったので、積極的に提案しなかった。むしろ、『クラウドサービスではパフォーマンスが落ちてしまう恐れがある』とアドバイスするなど、クラウドのデメリットをこちらから話していかないといけないと感じた」と、苦笑いしながら語る。
イプロスは今後、PVのアップを目指して、サイトのログ分析に注力していく方針だ。大量なログデータを処理するために、ファイルサーバーの導入を検討しているという。「しかし、IIJのファイルサーバーは少し価格が高いので、導入についてまだ迷っているのだが……」(山口チーフアーキテクト)と本音も語っている。(ゼンフ ミシャ)

イプロスVAセクションの山口隼也チーフアーキテクト(右)と今井拓也氏
3つのpoint
・サーバーの追加など、柔軟に変更ができる拡張性
・セキュリティを担保できるネットワーク構成を自由に組める
・信頼性/安定性にすぐれている