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企業の海外進出に対応が不十分なSIer 警鐘を鳴らす『IT人材白書2011』
2011/05/26 14:53
週刊BCN 2011年05月23日vol.1383掲載
アジアの著しい経済成長に刺激されて、日本企業の海外進出が加速している。2010年は、日本企業のグローバル化元年ともいわれる。製造業をはじめとする日本企業が海外で事業展開するということは、彼らのITインフラを構築・サポートする日本のシステムインテグレータ(SIer)にもビジネスチャンスが生まれることになるわけだ。さらに、日系企業だけでなく、各国の地場企業も成長に伴ってIT需要が高まっている。海外は、日本のSIerが開拓すべき巨大マーケットになりつつあるのだ。
しかし、そううまく事は運ばない。肝心のSIerをはじめとする日本のIT企業が、海外市場を開拓するための準備を整えているかといえば、いささか心もとないのが実際のところのようだ。IT人材の動向を調査する『IT人材白書2011』を5月20日に発行した独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、警鐘を鳴らしている。IPAによると、従業員5000人以下、つまり中堅規模以下の企業では、「グローバル化が自分にとって不利になる」または「非常に不利になる」と感じるIT技術者が過半数を占める。つまり、多くの中堅・中小のIT企業には、グローバル化に不安を抱く社員が多いということだ。
海外でビジネスを展開して成功するためには、社員の自信やモチベーションだけでなく、相手が地場企業なら、その国の言語が話せるスキルも必須となる。『IT人材白書2011』から浮かび上がってくるのは、IT技術者の外国語の必要性の認識が高いということである。従業員100人以下の企業でも、今後外国語を使うかの問いに対して、「強くそう思う」と「どちらかといえばそう思う」を合わせた回答がほぼ50%で、従業員数が多くなるにつれて、外国語への認識が高い社員の割合が大きくなる。しかしながら、外国語を使う必要性を強く感じる反面、日ごろから語学向上に取り組んでいるかといえば、そうではない。実際、定期的に語学向上に取り組んでいるIT技術者は約5%(IPA調べ)でしかないのが、日本のIT企業の実状だ。
『IT人材白書2011』はあくまでもIPAの調査報告であって、現実そのものを反映しているわけではないが、白書の数字から、次のことを読み取ることができるだろう。日本のIT企業は、社員のモチベーション向上や外国語取得の支援など、つまり、海外市場を開拓するための社内の基盤づくりに積極的に取り組んでいるとはいえそうにないこと。さらにいえば、「海外で事業展開をしたい」という経営層の方針と、IT技術者をはじめとした現場の社員の心情や行動の間に大きなギャップがあること──。
IT企業のトップが、グローバルでのビジネスを成功に導きたいと考えるなら、語学研修など、社員に必要なスキルを身につけさせる取り組みを、早急に強化する必要がある。(ゼンフ ミシャ)
アジアの著しい経済成長に刺激されて、日本企業の海外進出が加速している。2010年は、日本企業のグローバル化元年ともいわれる。製造業をはじめとする日本企業が海外で事業展開するということは、彼らのITインフラを構築・サポートする日本のシステムインテグレータ(SIer)にもビジネスチャンスが生まれることになるわけだ。さらに、日系企業だけでなく、各国の地場企業も成長に伴ってIT需要が高まっている。海外は、日本のSIerが開拓すべき巨大マーケットになりつつあるのだ。
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