情報処理推進機構(IPA、西垣浩司理事長)は、IT業界の人材動向やオフショア活用状況などを調査した「IT人材白書2010」を公表した。IT業界で働く従業員の満足度やITベンダーが求めている技術者の変化、人材の過不足感やオフショア開発の実態などが明らかになった。従業員の満足度調査では、待遇や職場環境に満足している人が多く、「3K(きつい・厳しい・帰れない)」といわれるIT業界のイメージとは乖離している現実が浮き彫りになった。

IPA 「IT人材白書2010」、5月に無償公開

 IT人材の人員数について「不足している」としたのは48.8%で、2年前に比べて26.8ポイント下がり、不足感が緩和されていることが分かった。IT人材の職種構成をみると、「アプリケーションスペシャリスト(APS)」と呼ばれるソフト開発者数が、1年前に比べ9ポイント減少。代わりに、情報システムの運用系人材の構成比率が微増となった。

 また、IT企業で働く従業員向けに、待遇と仕事内容、職場の満足度を聞いた調査では、総じて満足していることが分かった(下図参照)。質問項目の大半で、「満足している」と「どちらかと言えば満足している」と回答した比率は50%を超えており、「3K」といわれるイメージは必ずしも正しくないという結果が出た。


 ただ、今後のキャリアプランに対して、不安を抱いているIT人材が多いという業界の実態が浮き彫りになり、「自分の将来のキャリアが不安である」との回答比率が73.1%にも及んだ。「やる気はあるが、所属企業が中長期的なキャリアプランを示してくれていないと考えている従業員が多い」(IPA)のが理由という。「(所属企業から)キャリアプランを明示されていない」との回答は52.0%、「スキルアップのための制度が十分ではない」は73.3%という結果だった。

 一方で、特徴的だったのが、オフショア開発だ。過去に比べてオフショア開発の伸び率は鈍化。09年度は02年の調査開始以来、初めて減少し、1003億7100万円と予測した。今後もオフショア開発の金額規模が急激に増えるとはみておらず、12年の市場規模は、1195億6300万円と予測した。

 オフショア開発先としては、中国が圧倒的に多く、全体の80%。インド、ベトナムがそれに続いた。特徴的なのは、発注国の選定理由で、「開発コストの削減」を狙いとした場合は中国で、「ITスキルの高い技術者を活用するため」ではインドを選ぶ傾向が現れていることだ。

 調査は09年9月下旬~11月中旬に行い、IT企業やユーザー企業などから回答を得た。レポートは、5月下旬にIPAのWebサイトで無償公開する。(木村剛士)