業務プロセスの分析・最適化を図るBAO(ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション)の事業拡大に取り組んでいる日本IBM(橋本孝之社長)は、BAOの本格展開を目指して、財務管理やリスク管理など4分野をカバーするBAOのコア・ソリューションを策定した。IBMはこれをもって、グローバル化で膨大化・複雑化しつつあるユーザー企業のデータを整理しようとしている。
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鴨居達哉 執行役員 |
IBMが全世界レベルでBAOを成長戦略の一つと捉え、BAOの事業拡大を推進している背景には、納得できる数字がある。同社によれば、BAOのグローバル市場は2015年までに160億ドル規模に及ぶというのがそれだ。2009年にBAOの事業を開始したIBMは、成長著しい新興国にけん引されて、あらゆる情報を分析してビジネスに活用するITソリューションの需要が拡大していることを実感した。これを受けて、コア・ソリューションを策定し、本格的な展開に踏み切った。
BAOのコア・ソリューションは、財務管理、リスク管理、サプライチェーン管理、販売・マーケティングの4分野を網羅する。各分野で「情報統合基盤」「可視化」「分析」「予測・最適化」を実現するために、複数のIBMソフトウェア製品を組み合わせ、合計七つで構成されている(図参照)。「このかたちでBAOのコア・ソリューションを策定したのは初めて」(ビジネス・アナリティクス&オプティマイゼーションの鴨居達哉執行役員)という。
BAO展開の指揮を執っている鴨居執行役員は、「コア・ソリューションは、ユーザー企業の経営者目線でつくり、難しいイメージがあったビジネス・アナリティクスをより分かりやすくした」とアピールする。BAOはそもそも、データ分析によって顧客ニーズを読み取ったり、リスク・マネジメントを改善したりすることを目的としているので、ソリューションはユーザー企業の業務内容を経営者の視点から把握する必要がある。日本IBMは昨年、サービス産業などBAOのターゲット業界のスペシャリスト50人以上を採用し、彼らの知識・経験をもとに、BAOのコア・ソリューションを策定することができた。
日本IBMは、BAOをクラウドコンピューティングと「Smarter Planet」とともに、2015年に向けた事業拡大戦略の柱としている。鴨居執行役員は、「サーバーなどと合わせ、総力を結集して展開していく」考えだ。また、「BAOは、『Smarter Planet』のための重要なエンジンにもなる」と語り、全社的な事業拡大に鼻息を荒くする。(ゼンフ ミシャ)