【台北発】日本のソフトウェアベンダーが、台湾地区のソフトベンダーとの関係強化を急いでいる。中国と台湾が両岸経済協力枠組協定(ECFA)を締結したことで、日本のソフトを台湾経由で中国市場へ展開するメリットを感じ始めているからだ。日本から中国へソフトをダイレクトに販売する場合には、20%以上の関税がかかる。一方、台湾に輸出して台湾のソフトベンダーが中国の顧客へ販売する際は、ECFAの枠組みのなかで無税となる。しかも、台湾のソフトベンダーは、中国市場で実績があり、日本のソフトベンダーが直接入って営業するよりも受注成果を期待できる。具体的に両者がどう連携し、台湾と日本のソフトベンダーの役割分担をどうするのか、課題は多いが、一歩ずつその実現に向けて歩んでいる。(取材・文/谷畑良胤)
<日本と連携深める台湾SIer・ソフトベンダー>
台湾と日本のソフトウェアベンダーらが交流する「2011亜太ソフトウェア企業交流商談会」(日中ソフト交流商談会)が、6月2日、台湾・台北市の台大病院国際会議中心で開かれた。参加したのは、日本からは情報サービス産業協会(JISA)、JASPA(全国ソフトウェア協同組合連合会)、メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム(MIJS)、KT─NET、台湾からは中華民国情報産業協会(CISA)の加盟ベンダーを中心に約100人。3回目となる今回の企業交流商談会は、アジア地域でのソフトウェア産業の発展において台湾の重要性を認識するとともに、台日連携に向けた具体的な戦略を打ち出すことを目的としている。

台日のソフト企業の具体的な連携を話し合ったパネルデイスカッション
(左からMIJSの内野理事長、KT-NETの林委員長、JASPAの中島会長、JISAの杉山副会長、CISAの劉理事長と蕭烱森日本代表)
冒頭、台湾政府を代表して経済部工業局の周能傳副局長が挨拶した。周副局長は、日本の団体代表者の名前を挙げながら、「台湾でこの商談会ができることを感謝している。今回の主催者は台湾のCISAで、政府がスポンサーとなってCISAをサポートした。世界は激しく変化している。このところ、2回の津波があった。一つは、金融危機の津波。次は日本での大地震に伴う複合的な災害。これは、日本だけのことでなく、台湾にも大きな影響があった。中国と台湾が両岸経済協力枠組協定(ECFA)を締結し、新たな『ゴールデントライアングル』をさらに強化し、深めることができる環境が整った。その必要性を痛感した」と語った。
続いて、CISAの劉瑞隆理事長が東日本大震災へのお見舞いを述べたあと、「アジア地域のソフト業界発展のために、力を合わせてよい将来を一緒につくろう。周副局長からもあった通り、『ゴールデントライアングル』をソフト業界でも実現したい」と、参加者に感謝の言葉を述べた。
続けて、日本のソフト団体が挨拶。それぞれに台湾との関係を重要視していることを告げ、「ゴールデントライアングル」の実現に向けた取り組みを本格化する旨の発言が相次いだ。
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