日本ビジネスコンピューター(JBCC、山田隆司社長)が、統合基幹業務システム(ERP)事業の強化に乗り出す。現行の自社開発ERP「Enterprise Vision」と、子会社のリード・レックスが開発・販売する生産管理システム「R-PiCS V3.x」の後継版となる完全ウェブ型「新ERP」(名称は未定)を展開する計画だ。
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| リード・レックスの社長を兼務する市川国昭 取締役上級執行役員 ERP事業部長 |
JBCCは、2012年以降、「新ERP」の各機能モジュールをリリースしていく計画を打ち出している。第一弾として、2012年6月、「Enterprise Vision 販売」の後継モジュールをリリース。13年1月には、「R-PiCS V3.x」の後継となる生産管理モジュールをリリースする予定だ。これら既存ブランドの名称を変更するかどうかは未定という。
時期を同じくして、2012年に会計モジュール、2013年に人事・給与モジュールをリリースする予定だが、これらは他社から調達する考えだ。リード・レックスの社長を兼務する市川国昭・取締役上級執行役員ERP事業部長は、「まずはエス・エス・ジェイ(SSJ)の『Super Stream-NX』と連携する。ほかの会計パッケージとの連携はこれから検討する」と話す。
「新ERP」は、年商50億~500億円の製造業や流通卸業、サービス業を対象に販売。多言語(日本語、英語、中国語)、多通貨に対応する。
「R-PiCS」は、国内の中堅企業向け生産管理システム市場で導入社数1位になることと、2020年までに1000社に納入することを目標としている。市川取締役は、「単なる機能拡張では難しい。『新ERP』で、導入企業のターゲット層を広げるとともに、パートナー企業が売りやすいモデルにして達成に近づけたい」と話す。
直販中心の「Enterprise Vision」は、これまでに約250社のシリーズ納入実績をもつ。一方で「R-PiCS」は、国内では550社以上、海外では約40社の納入実績をもつ。「新ERP」に「Enterprise Vision」と「R-PiCS」を統合することで、「『Enterprise Vision 販売』のユーザー企業の5~6割を占める製造業に、データベースを統合した生産管理モジュールを提供することができる」(市川取締役)というメリットがある。
現行の「Enterprise Vision」(販売、製造、鋼材、給与、会計)、「R-PiCS V3.x」は、クライアント/サーバー型ERPとして存続させる。既存の『Enterprise Vision』は、SIカスタマイズ対応を中心に継続して提供するという。
純粋持ち株会社のJBCCホールディングスによるリード・レックスの買収が完了したのは、2009年7月。製品補完やグローバルビジネスの強化という意味合いがあった。弱かった生産管理の領域を「R-PiCS」で補い、リード・レックスの海外拠点と連携してグローバル進出を加速させる足がかりを築いたのだ。「新ERP」は、リード・レックスの買収効果をさらに高める施策といえそうだ。(信澤健太)