その他
超大型DCが石狩市で稼働を開始 巨額投資と建設ノウハウに受けた衝撃
2011/12/08 21:07
週刊BCN 2011年12月05日vol.1410掲載
11月15日、記者はさくらインターネットが開設した北海道石狩市のデータセンター(DC)に足を運んだ。このDCは、1棟あたり500ラックまで収納できる分棟式の建物を最大で8棟建てることができ、4000ラックまで増設が可能な超大型施設である。それだけに、建設を発表した時点から、多くの関係者の注目を集めていた。
石狩DCに足を踏み入れて、感じたことが二つある。一つは、サーバーを設置するためのフロアがまだガラガラの状況で、今後増設が予定されている購入済みの土地も広大であることだった。新規のユーザーを獲得するために建てた施設だから、当然といえば当然である。だが、あまりにも広いスペースを目の当たりにして、記者は愕然とした。広報担当者は「これからこのスペースにお客様が利用するサーバーを順次設置していきます」と、いとも簡単そうに話していたが、それを成し遂げるにはかなりの営業力が必要だろう。さくらインターネットは、このDCの建築に約32億円を投じている。同社の昨年度(2011年3月期)の売上高(非連結)は約86億円。売上高と投資額を勘案すれば、このDCの建設に踏み切ったことが、かなり大きな挑戦であることがわかる。逆に、クラウド事業を伸ばそうと考えれば、「これだけ巨額の投資が必要」という決意を垣間見た思いがした。
そしてもう一つが、DCという建造物がきわめて特殊な設計であるという事実である。石狩DCは、ほかのDCに比べると異質な構造ではある。サーバーから出る熱の冷却に使う電力量を抑えるために、外気を取り入れる特殊な構造と冷房装置を採用しているのだ。クリーンな外気を取り込むための独特の壁面と、その冷気を天井からサーバールームに送る天井吹出方式の設計、地震が発生して損傷を受けても迅速に取り替えがきくように、排気ダクトにはアルミニウムをコーティングしたダンボールを採用するなど、特殊な要件を満たすためのさまざまな工夫と知恵を集めている。
DCは、運用の面にこそITベンダーの力が問われると思うが、DCを建設するうえでの要件は、ITベンダーでは考えつかない点が多いと感じた。また、DCをつくった経験をもつ建設会社とそうでない建設会社とでは、その要件を策定する力や、具現化するためのスキルとノウハウが大きく異なる。今回のDCの施工者は大成建設で、石狩DCの経験を武器にして、DC建設の構想をもつITベンダー向けの提案に力を注ぐ可能性は十分にある。
これから先、DCを自前で建設しようと考えているITベンダーにとって、どの建設会社と組むかは非常に重要な要素になるだろう。自前の施設を活用したクラウド事業は、もはやITベンダーのノウハウだけでは実現できないという印象を、さくらインターネットの決意とともに強く感じた。(木村剛士)
11月15日、記者はさくらインターネットが開設した北海道石狩市のデータセンター(DC)に足を運んだ。このDCは、1棟あたり500ラックまで収納できる分棟式の建物を最大で8棟建てることができ、4000ラックまで増設が可能な超大型施設である。それだけに、建設を発表した時点から、多くの関係者の注目を集めていた。
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