日商エレクトロニクス(日商エレ、瓦谷晋一社長)は、米ジュニパーネットワークス(ジュニパー)製品のデータセンター(DC)向け販売に拍車をかける。昨年末、ジュニパーの日本法人との合弁会社として、総合的な技術サポートを提供する「ジェイネットワークイニシアティブ(JNI)」を設立。これによって、ジュニパー製品の販売にあたって「日本メーカーと同じ技術支援ができる」体制を整えた。
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JNI 牧野孔治社長 |
今年1月1日に営業を開始し、4月からフル稼働するJNIは、日商エレが92%、ジュニパーが8%の比率で出資している。新会社は、ジュニパー製品の導入コンサルティングから設計や構築、運用までの包括的な技術サポートの提供を主なビジネスとする。日商エレとジュニパーがJNIを設立した目的は、「ジュニパー製品の販売にあたって、海外メーカーでありながらも、国内メーカーのようにユーザーが安心して製品を使える技術サポートの体制をつくるため」(JNIの牧野孔治社長=日商エレ取締役常務執行役員)という。米国大手のジュニパーが自ら販売会社の設立に投資するのは、JNIが世界初だ。
日商エレは、およそ14年前からジュニパーの製品を取り扱っており、なかでも、ネットワークの中核となるコアルータの販売を強みとしている。同社は今後も引き続き、ジュニパーのコアルータ販売を事業の柱として伸ばす方針だ。とはいえ、市場が成熟している状況下で、このビジネスの急速な拡大を見込んではいない。今回、DCファブリックやイーサネットスイッチ、サービスゲートウェイといったコアルータ以外のDC向け商材を展開するJNIを設立したことによって、日商エレは、DCという有望市場を開拓することを狙っている。すなわち、本体でジュニパーのコアルータの販売を手がけながら、より柔軟でスピーディーにユーザーのニーズに対応することができる合弁会社のかたちをとり、DCファブリックなどDC向け商材の販売に力を注ぐわけだ。
JNIの従業員数は現時点で約30人で、2016年度(16年12月)までにその数を90人前後に増やす計画だ。16年度の国内での売上目標として11億円を掲げている。同社は、自社の売り上げを伸ばすことに加え、JNIが提供する技術サポートを通じて、日商エレ本体でのDC向け製品販売を刺激することをミッションとしている。牧野社長は、「JNIが後押しするかたちで、日商エレ本体で、DC向け商材の売り上げを、現在の年間数十億円クラスから、2016年度までに100億円規模に引き上げたい」としている。
営業を開始して間もないJNIだが、「すでに案件が動き始めている」(牧野社長)という。中期的には、日本のユーザーのニーズをきめ細かく収集・分析し、ジュニパーと連動して製品開発に生かすという、「半分はメーカーのような役割を果たしていく」という考えだ。(ゼンフ ミシャ)