米オラクル(ラリー・エリソンCEO)は、9月30日から10月4日までの5日間、ビジネスとテクノロジーに関する国際カンファレンス「Oracle OpenWorld (OOW)2012 San Francisco」をサンフランシスコで開催する。同社は今年6月、エリソンCEOが「地球上で最も包括的なクラウド『Oracle Cloud』」と豪語するクラウド戦略を発表するなど、新しい方向性を相次いで打ち出した。今回のカンファレンスは、クラウドのほか、新しい製品やサービスとパートナー関係のすべての中期戦略が示される歴史的な機会になる“見どころ満載”のイベントになりそうで、販売会社には、必見のイベントになる。(取材・文/谷畑良胤)

「Oracle OpenWorld 2012 San Francisco」のメイン会場になる米サンフランシスコのモスコーニセンター
Fusion Appsの全貌が明らかに
 |
副社長執行役員 アライアンス統括 志賀徹也 氏 |
「Oracle OpenWorld(OOW)」は、毎年この時期に実施している同社最大にして世界最大級のイベントだ。昨年は約4万人の開発者らを集めた。同時に世界最大のJava開発者向けイベント「JavaOne」も近隣の会場で開かれる。今回は、過去最大の4万6000人超の集客を見込んでおり、会場も従来のモスコーニセンターだけでなく隣接するユニオンスクエアを利用する。
基調講演では、エリソンCEOやマーク・ハード・プレジデントなど同社の幹部が登壇するほか、業界著名人らが講演する。数多くの企画やプログラムが目白押しで、基盤製品であるデータベースやミドルウェア、アプリケーションサーバー、サーバー、ストレージに加え、ソフトウェアとハードウェアが融合した「エンジニアド・システム」や各業界向けセッション、顧客事例、開発者向けの「Oracle Develop」でも多くのセッションが予定されている。
日本法人の日本オラクル(遠藤隆雄・代表執行役社長兼CEO)の志賀徹也・副社長執行役員アライアンス統括は、「今後の当社のキープロダクトはもとより、クラウド関係のIaaS、PaaS、SaaSの展開、『Oracle Fusion Applications』の全貌などを明らかにする」と、見どころを披露する。クラウド関連ではオンプレミスとパブリックの両面で展開するハイブリッドクラウド、アプリケーションではHCM(人材管理システム)、CRM(顧客管理システム)、最近買収したソフト会社のビジネスファンクションなど、新プロダクトを発表する予定だ。
パートナー専用セッションを数多く
これを受けて、日本オラクルは、パートナー向け特別プログラム「ORACLE PARTNER NETWORK EXCHANGE@OPENWORLD」を企画した。このプログラムは、同社のパートナープログラム「Oracle PartnerNetwork Specialized(OPN-S)」の加盟社などを対象としたもので、初日のパートナー向け基調講演を皮切りに、開催期間を通じて約40のパートナー限定セッションを用意している。
限定セッションは、五つのカテゴリーに分類。マーケット動向とそれを解決するテクノロジー製品の最新情報を提供する「テクノロジー」「Fusion Applications」や「JD Edwards」などアプリ製品の最新情報を入手できる「アプリケーションズ」、クラウド戦略をそれを支えるテクノロジーを示す「クラウド」、「Exadata」などの最新動向を明らかにする「エンジニアド・システムズ」、金融や通信などに特化した業種別ソリューションの戦略を示す「インダストリー・ソリューションズ」の五つで、現時点では計39のセッションがある。
志賀・副社長は「プログラムは、OPN-S加盟のパートナーだけでなく、パートナーが既存ユーザーを連れてくることも可能だし、ユーザー単独でも参加できる。現地では、米本社のエグゼクティブの生の声を聞くことができるし、個別に最新動向を聞くことも可能だ。パートナーにとっては、当社の新しい販売プログラムがわかり、今後の戦略立案に生かせるので、ふるって参加してほしい」と、現地同行を呼び掛けている。