日本オラクル(遠藤隆雄社長)は、7月11日、2013年度の重点分野やインダストリー戦略、製品戦略を披露する戦略説明会を開催した。

 日本オラクルは、2012年5月期の単独決算で、売上高が前年度比8%増の1429億円。ソフトウェアとハードウエアの事業がともに伸長し、08年5月期以来、4期ぶりに最高益を更新した。遠藤社長は、「健全に成長している。引き続き、売上高2000億円を目指して頑張る。データベースだけでなく、すべての領域でNo.1を目指す」と意気込みを語った。

遠藤隆雄社長

 推し進めるのは、サービスの製品化。遠藤社長は、「お客様のバジェット(予算)は、半分以上がシステムインテグレーションなどのサービスコストに充てられている。したがって、サービスコストを製品コストに変えることができれば、今後もオラクルは成長できる」と話しながら、「オラクルの製品を導入すれば、フルスタック(全部入り)で、シンプルかつスマートなシステム環境でイノベーションを実現できる」とアピールした。

 ソフトウェア事業を統括する大塚俊彦副社長執行役員は、オラクルが20以上の業種別戦略を推し進めてきたことを紹介。顧客情報分析を最大95倍高速化したNTTドコモや、空席照会レスポンスを10倍向上した全日本空輸、株価参照取引処理を最大700%高速化した楽天証券などの具体的な事例を披露した。今年度も引き続き、「製品ポートフォリオを充実させるために買収を進めて、業種別ソリューションの品揃えを強化している」という。

大塚俊彦副社長執行役員

 製品事業を統括する三澤智光専務執行役員は、企業の多くがIT予算の84%を既存システムの維持・拡張に振り分け、残りの16%が事業の変革のために使われている現状を問題視。「オラクルは、単にシステムをシンプルにするだけでなく、イノベーションの実現をお手伝いする。これは、データをビジネス価値に変えるスピードを向上させるということ。オラクルのようなコンピュータメーカーが支援できる最大のポイントだ」とした。「Oracle Exadata」を導入し、3億件の販売データ分析を240倍高速化したアサヒグループなどの事例を引いて、オラクル製品群の優位性を強調した。

三澤智光専務執行役員

 今年度は、「最も高性能な仕組みを最も安く提供する」(ラリーエリソンCEO)という「Oracle Engineered System」を基盤に、「地球で最も包括的なクラウド」を謳う「Oracle Cloud」の販売を推し進める。

 システム事業を統括する飯尾光國バイスプレジデントは、「Oracle Solaris 11」と「SPARC T4」サーバーを搭載した「SPARC SuperCluster T4-4」をアピール。日本企業として初めて採用したアウトソーシングの事例を公表した。

 アウトソーシングは、国内外で生産アウトソーシング事業を展開している企業。積極的なM&Aを推進し、グループ子会社を国内に13社、アジアを中心に海外に13社を有し、従業員は1万人以上に上る。M&Aを通じて、多くの企業が加わったために、個々に異なる顧客情報管理基盤や経営・人事情報管理基盤が存在していた。今後の事業拡大に備えてITをシンプルにすることやBCP(事業継続計画)対策のために、「Oracle Solaris 11」を搭載する「SPARC SuperCluster T4-4」を全社共通基盤として採用した。営業効率を改善し、年間1000万円以上のコスト削減効果が見込めるほか、ハードウェアの削減や運用負荷の軽減によって、5年間で2億円以上のコスト削減効果を期待できるとした。

飯尾光國バイスプレジデント

 今年度のシステム事業は、「SPARC T4」サーバーなどを用意して多様なニーズに合わせた汎用プラットフォーム、「Engineered System」によるIT基盤刷新、「StorageTek Tape」などのクラウド/ビッグデータ領域のストレージポートフォリオの三つを軸に推進。飯尾バイスプレジデントは、「サン・マイクロシステムズの時代から20年以上にわたって開発してきた『SPARC/Solaris』の革新を今後も継続し、ソフトとハードを合わせた高いパフォーマンスを実現する提案をしていく」と語った。(信澤健太)