三菱商事(小林健社長)の機械グループは、トライポッドワークスのオンラインストレージ「GIGAPOD」シリーズを導入し、メールで制限されていた大容量ファイルの送信を可能にした。複数のファイルを一度に送ることができ、また、ユーザー企業や取引先などの受信側もメールが受け取りやすくなり、さまざまなファイルを共有することで生産性の向上につながっている。セキュリティレベルを高めるために、「GIGAPOD」の新製品を導入することも検討している。
ユーザー企業:三菱商事
国内や海外80か国に200超の拠点を持つ総合商社。機械グループでは、三菱ブランドの自動車事業をはじめ、船舶・宇宙航空事業、プラント・エンジニアリング事業、産業機械事業などを手がけている。
プロダクト提供会社:トライポッドワークス
プロダクト名:「GIGAPOD」
「GIGAPOD」を使ったメールの送受信
【課題と決断】大容量データが送れない
三菱商事の機械グループは、同社の各拠点や取引先とのメールのやり取りで、CADや設計図、写真など、容量が大きいデータを添付することが多い。にもかかわらず、各社員がメールで添付できるデータ容量は、社外宛てが20MBまで、社内宛てが5MBまでと制限されている。容量を超えるデータは複数回に分割して送信するか、無料のファイル送信サービスなどを利用するしか方法がなかった。
「複数回に分けて送るのは手間がかかるし、無料のファイル送信はセキュリティ面に不安があった」と、星浩史・機械グループCEOオフィスIT支援ユニット部長代理は振り返る。フォルダやファイルを分割して送ったり、無料のファイル送信サービスを使ったりするのは、「受信側の取引先にも不便を強いることになる」と、星部長代理は懸念していた。そこで、データ容量を小さくしてCADや設計図、写真などを送る方法はないかと模索していた。そんなときに、トライポッドワークスのオンラインストレージアプライアンス「GIGAPOD OFFICEHARD」を、ある取引先から紹介された。2007年夏のことだった。
早速、トライポッドワークスの担当者を呼んで話を聞き、「操作が簡単で誰でも使える。また、工夫すれば、さまざまな使い方ができる」と実感したそうだ。ただ、社内の多くの人に使ってもらうためには、星部長代理自身が使い勝手のよさを、きちんと社員に伝えていかなければならない。まずは07年11月に試験導入を行い、社員への普及活動やマニュアルの作成などに時間をかけて、09年8月、本格稼働にこぎつけた。
写真中央が三菱商事の星浩史部長代理、左がトライポッドワークスの佐々木賢一社長、右がトライポッドワークスの片岡裕紀マネージャー【効果】バージョンアップ版も即導入
「GIGAPOD」は、GIGAPODサーバーに保存したファイルやフォルダなどにアクセスできるURLリンクを作成して、URLリンクをメールで送信すれば、受信者がファイルやフォルダを閲覧できる。「GIGAPOD OFFICEHARD」を本格稼働したところ、メールを分割することなく一度に送信できるという最大の特徴が現場で高い評価を得た。「取引先からも、URLでアクセスして必要なデータだけをダウンロードできるという点が好評だ」と、星部長は満足げ。取引先との情報共有も活発になった。また、トライポッドワークスはファイルを自動で削除する機能などを追加した「GIGAPOD 2010」を10年10月に発売。機械グループが要望していたものだった。星部長代理は、「バージョンアップを即座に決断した」という。トライポッドワークスの佐々木賢一社長は、「三菱商事さんに要望していただいて、メリットを実感してもらえる機能が追加できた」と喜んでいる。
機械グループで「GIGAPOD」を利用しているのは400ID程度。星部長代理は、「そのうちアクティブに使っているのが8割以上」と説明する。利用頻度が高いことからも、「今後も、バージョンアップのたびに積極的に導入していきたい」という。
技術の課題を中心にユーザー企業への応対に携わるトライポッドワークスの片岡裕紀・ビジネス開発本部マーケティング部マネージャーは、「ユーザー企業の声をよく聞いて、今後も製品に反映させていく」と、意気込みを示す。ユーザー側の「セキュリティレベルの向上を図りたい」(星部長代理)という意向を受けて、外出先からでもアクセスできるようにセキュリティ機能を強化した新製品を年内に発売する予定だ。また、機械グループではメールをNotesからOutlookに変更したことで、「GIGAPOD for Outlook」の導入も検討するなど、トライポッドワークスの「GIGAPOD」に絶対の信頼を寄せている。(佐相彰彦)
3つのpoint
大容量ファイルのやり取りができる
メール送信の回数を減らして効率化
取引先との情報共有が活発に