野村総合研究所(NRI)は、海外におよそ20拠点を展開しているが、このうち国内ビジネスと密接に関係するのが、中国での日本向けオフショアソフト開発と高度BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)である。中国は沿岸部を中心に人件費が高騰しており、従来型の単純なプログラム制作では採算が取りにくくなっている。そこで注目しているのが、ユーザー企業の業務の一部分を切り出して受託する高度BPOだ。

高木重史 総経理 同じ業務の切り出しでも、コールセンターの受付業務など、比較的単純な業務では、プログラム制作と同様にコストが合わない。そうではなく、熟練したスキルと、複数の顧客の共同利用センター的な役割を担っていくことで、人件費に見合う収益を確保する。NRIは、2007年、業界に先駆けて中国大連でBPO事業を立ち上げて、直近の人員数は200人規模にまで拡大した。投資信託など「専門特化した日本向けの金融業務における高度BPOを主に手がける」(NRI大連法人の高木重史総経理)ことで、付加価値の高いBPOサービスに仕上げた。
顧客からの引き合いや受注は好調に推移しており、向こう数年で1000人規模へ人員を拡大することも視野に入れている。大連は日本語や英語などの外国語教育に熱心な土地柄で、高度BPO事業に関しては地元政府も誘致に力を入れている。「BPOに欠かせない日本語能力が高い人材は、世界を見渡しても大連が最も豊富だ」(同)として、地の利を最大限に生かす。(安藤章司)