DTSの子会社、逓天斯(上海)軟件技術有限公司(DTS上海)は、購買と販売、在庫を統合管理するASPサービス「Ric'S」を、五十鈴(上海)技貿実業有限公司に2013年1月から順次納入し、業務効率化に向けたシステム革新に取り組む。
→「<中国のITユーザー事情>日系ベンダーのシステム構築事例集」 から読む <五十鈴(上海)技貿実業有限公司> いすゞ自動車のグループ会社として1997年3月に設立。自動車関連の産業エンジンや修理用パーツなどを日本から輸入して中国で販売している

五十鈴(上海)技貿実業の山崎誠営業部部長(右)とDTS上海の堀川宗兵氏 五十鈴(上海)技貿実業では、ある日系ベンダーからの勧めで数年前にERPを導入したものの、財務関連のみの使用にとどまっていた。同社の山崎誠営業部部長は、「基幹システムとして適していなかった」と打ち明ける。というのも、主力事業の一つである自動車関連の修理用パーツの販売では、数多くのアイテムがあるほか、修理する自動車の設計変更などによってパーツの部品番号が変わるからだ。部品番号は10ケタで管理しており、常に変更される。また、お客様に渡しているカタログの部品番号と実際の部品番号が異なるケースが多く、そのパーツの有無を把握するために古い部品番号も管理しなければならないが、かつて導入していたERPでは部品番号の照合ができなかったという。そのため、在庫や販売、購買などの管理には「Excel」を使用していた。
その当時、五十鈴(上海)技貿実業にアプローチをかけていたのがDTS上海だ。営業の堀川宗兵氏は、「何とか課題を解決したい」と考え、まず既存のERPを生かしながらの業務効率化を提案。ERPから在庫の引き当てや出荷指示書が出せる補完システムを開発して、10年1月に稼働させた。
このシステムによって、五十鈴(上海)技貿実業では財務をはじめ在庫や販売、購買などのデータを一括して管理できるようになった。ただ、現状のシステムでは「サードパーティなど取引先などとのデータ連携を実現していない」(山崎部長)ことから、「Ric's」を導入することに決めた。「Ric's」を導入すれば、業務に関わるデータの一括管理のほか、ほかのシステムとの連携も実現できる。五十鈴(上海)技貿実業では、まず13年1月にミニマムで導入し、夏頃まで徐々に機能を追加していくことを計画している。DTS上海の高田政和総経理は、「ITの製品・サービスはあくまでもツールであって、導入したユーザーが最適な環境で業務を遂行できるようにすることがベンダーの役割」としている。
→<中国のITユーザー事情>日系ベンダーのシステム構築事例集
→【上海電通信息服務の事例】「Lamp」で管理の簡便化を実現 中国独自の機能も盛り込んでいく
→【TISI(上海)の事例】店舗管理システムを提供 業界に特化した機能を充実
→【恒川システム(上海)の事例】ショッピングサイト立ち上げを支援 中国と日本の実情把握が決め手に
→【JBCN(上海)の事例】生産管理で事業拡大に寄与 移転時のネットワーク構築も