その他
日本ユニシスにとってDNPとの提携は一石二鳥 クラウド事業の拡大と新規顧客の獲得を狙う
2013/01/31 21:03
週刊BCN 2013年01月28日vol.1466掲載
それぞれ大きな構造改革に取り組んでいる異業種の2社が業務提携し、力を合わせてビジネスを伸ばそうとしている。金融業界に強いシステムインテグレータ(SIer)の日本ユニシスと、大手印刷事業者である大日本印刷(DNP)がその2社だ。両社は、DNPが日本ユニシスの筆頭株主になって、2012年8月に業務提携を開始した。異業種といっても、両社の目的は同じ。国内最大級のサービス網を有するクラウド事業者を目指しているのだ。
DNPは印刷会社として広く知られているが、印刷需要が縮小する傾向にあって、ここ数年、ITを活用するサービスのメニューを揃えてきた。現在、従来の印刷事業のほかに、自治体向けの電子図書館サービスや物流事業者向けの食品トレーサビリティシステム、金融機関向けの書類管理システムなどを提供している。一方、日本ユニシスは、従来型システム構築(SI)の需要が減る状況にあって、売り上げの減少に直面。ビジネスモデルを再編するために、DNPと同じように、サービス事業を拡大している。
業務提携から半年が経ち、両社は共同の事業展開に向けて具体的な行動に出ている。
DNPは千葉県で、最大850ラックを収納するデータセンター(DC)を建設しており、今年11月の竣工を予定している。このDCを活用して、日本ユニシスがシステム構築を手がけるかたちでクラウド基盤をつくり、DNPの各サービスをクラウド型で提供しようとしている。さらに、DNPが国内で運営する3か所のDCと日本ユニシスが保有する7か所のDCを連携し、システムの運用・保守を統合。3万社以上に及ぶDNPの顧客を主な対象に、共同でクラウドサービスを展開していく。
DNPと日本ユニシスは、DCをベースとするクラウド事業で、2016年度の連携売上高300億円を目標として掲げている。両社の2012年3月期の売上高(DNP=1兆5072億円、日本ユニシス=2551億円)に照らし合わせれば、それほど大きな金額ではない。しかし、とくに日本ユニシスにとっては、共同のクラウド展開による市場拡大の可能性が大きいと考えられる。
日本ユニシスは経営改善に向けた取り組みとしてターゲット業種を広げようとしているが、「日々、新規市場開拓の難しさを痛感している」(黒川茂社長)と語るように、思い通りに進んでいないようだ。今後、DNPの顧客へのクラウドサービスの提供を通じて、新規ユーザーの獲得を狙う。彼らとパイプを築き、クラウドの延長線でシステム構築の案件も提案することが可能になるからだ。クラウド事業の拡大と新規顧客の獲得の二つにつながるという意味で、DNPとの業務提携は日本ユニシスにとって一石二鳥の効果があるとみられる。(ゼンフ ミシャ)
それぞれ大きな構造改革に取り組んでいる異業種の2社が業務提携し、力を合わせてビジネスを伸ばそうとしている。金融業界に強いシステムインテグレータ(SIer)の日本ユニシスと、大手印刷事業者である大日本印刷(DNP)がその2社だ。両社は、DNPが日本ユニシスの筆頭株主になって、2012年8月に業務提携を開始した。異業種といっても、両社の目的は同じ。国内最大級のサービス網を有するクラウド事業者を目指しているのだ。
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