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日本ユニシス、中期経営計画を発表 新規事業の売上高を省く計画値に違和感
2012/01/12 21:07
週刊BCN 2012年01月09日vol.1414掲載
大手システムインテグレータ(SIer)の日本ユニシスは、2011年12月末、記者やアナリストを東京の帝国ホテルに招集して、2012年度(13年3月期)~2014年度(15年3月期)の中期経営計画を発表した。
今回の中期経営計画は、昨年7月に日本ユニシスのトップに就任した黒川茂社長が、収益低迷に直面している同社の業績をいかに立て直すかについて、初めて具体的な方針を示したものだ。計画では、日本ユニシスはシステム/ネットワークインテグレーションを中心とするコアの事業領域の拡大と、スマートシティなど社会基盤のインフラ構築やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスといった新規ビジネスの立ち上げの二つに注力することになっている。計画の最終年度となる2014年度には、2800億円(2010年度の実績は2530億円)の売上高を目標としている。
黒川社長の中期経営計画には、一つ大きく注目すべき点がある。今後、新規事業の開拓に力を入れることを方針に掲げてはいるものの、その新規事業による売上高を2800億円の目標値には含めていないことがそれだ。黒川社長は、「新規ビジネスの実績を着実に積み重ねて、早期に100億円に達成したい」として明言は避けているが、新規事業の売り上げをあくまでも「プラスアルファの部分」と捉え、新規事業を全社ビジネスの大きな柱とすることに消極的な姿勢をみせている。
記者は、新規事業の売上高を目標値に組み込まないことに違和感を覚えた。なぜなら、新規ビジネスに対する本気度があまりにも低いようにみえるからだ。もちろん、新規事業は収益見込みが確かではないのはその通りで、「計画を新規事業に依存しないほうがいい」という観点に立てば、黒川社長の方針にはうなづけるところがある。しかし、従来型システム構築の需要が目にみえて減少している今の時代こそ、経営トップが勇気をもって、新規事業の売上構成比を高めることに挑戦すべきではないのか。
実際、日本ユニシスは市場環境の変化に伴って、中期経営計画の実行期間に当たる向こう3年間で、メインフレームをベースとした数件の大口案件の解約を見込んでいる。同社の幹部は、メインフレーム事業の縮小見通しを受け、2014年度の2800億円を「挑戦的な目標値」と表現している。メインフレームの案件解約といったマイナス要因が浮き彫りになりつつあれば、なおさら新規事業の売上構成比を高めることに取り組む必要があるだろう。
ICTに強い日本ユニシスは、スマートシティなど新しいビジネスを実現するための、すぐれた技術力をもっている。それを事業に生かさない手はないはずだ。社員の士気を高めるうえでも、従来の延長線だけではなく、新しい世界に挑戦してほしいと思う。(ゼンフ ミシャ)
大手システムインテグレータ(SIer)の日本ユニシスは、2011年12月末、記者やアナリストを東京の帝国ホテルに招集して、2012年度(13年3月期)~2014年度(15年3月期)の中期経営計画を発表した。
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