デルの郡信一郎社長が「最も信頼する営業パーソンの一人で、女性社員からもロールモデルとして一目置かれる存在」と評価する渡辺由布子さん。表面はクールだが、情熱を込めて営業活動に励んでいる。渡辺さんはもともと派遣社員としてデルに入ったが、今は若手トップ営業として、製造やテレコムの大手顧客を担当している。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/大星直輝)
[語る人]
●profile..........渡辺 由布子(わたなべ ゆうこ)
2004年3月、大学の家政学部被服学科卒業。専門商社の社員を経て、04年11月に派遣の営業アシスタントとして、デルで勤務。内勤営業部門の見積もり作成や入札用の機種選定業務をサポート。その後、正社員登用の採用試験を受けて05年12月に内勤営業として採用され、新規顧客開拓に従事。08年8月、技術のエキスパートが集まるテクニカル営業部門に異動。その後、2011年2月に外勤営業部門に異動し、現在に至る。
●会社概要.......... 大手コンピュータメーカー、米Dellの日本法人。1993年に販売業務を開始。パソコンのほか、ストレージなど企業向けIT機器を提供。神奈川県川崎市に本社を構える。
●所属..........ラージ・エンタープライズ&公共営業統括本部
第一営業部
アカウントエグゼクティブ
●営業実績.......... 2012年、仮想基盤を使ったシステム構築大口案件の受注が評価され、社長賞を受賞。
●仕事.......... 大手企業と公共分野をターゲットにする部署で、外回り営業に携わっている。製造とテレコムの客先を担当する。ポストセールスのチームと密に連携し、客先を長期にわたって支援することに力を入れている。同じエリア内で数件のアポイントメントを入れることによって、効率のよい動きを心がけている。
技術面での優位性を訴求
ペアを組んで商談する際に、当社のもう一人の営業担当が資料を見せて説明する間、私はお客様の顔を見て、どんなことを考えておられるかを表情から読み取るようにする。
営業が二人一緒にお客様を訪問したときに、説明をしないほうは、メモを取ることで必死になることが多いと思う。私はあえて、あまりメモを取らない。お客様は話のどういうところで興味を示したり、納得していない顔を見せたりするかをずっと観察し、それらの情報を提案を進める際に生かす。
外見は冷静に見える私だが、内面では営業魂が燃えている。常に、お客様が考えておられることを想定し、ベストな提案をすることに力を尽くしている。
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私は少し異色な経歴をもっている。大学卒業後に入社した専門商社を3か月で辞めて、2004年、派遣の営業アシスタントとしてデルに入った。前の職場が性に合わず、メーカーで働くことに魅力を感じたからだ。
デルでは、見積もり作成などのサポート作業がスタートだったが、最初から仕事にやり甲斐を感じた。周囲の励ましを受けて正社員登用の採用試験に挑戦し、入社からおよそ1年後に正社員になった。現在は、製造やテレコムのお客様にシステムの刷新を提案する外勤営業を担当しているが、この仕事に就く前に、内勤営業やテクニカル営業も経験してきた。
デルであらゆる仕事に携わってきたおかげで、技術を含めて、対応範囲が広いことに自信をもっている。提案をする際に、デル製品の技術面でのすぐれた点を訴えることを重視する。競合製品のスペックが説明されるホワイトペーパーを手に入れ、当社と比べての弱点をペンでマークし、お客様にお渡しする。技術面での比較によって、デル製品を選ぶメリットを明確にするのだ。
出社は、毎朝7時前。ほかの社員はまだ誰も出社していないので、電話も鳴らない静かな環境で仕事がはかどる。朝のうちに訪問の準備を済ませ、昼間は商談に集中することを心がけている。私は、受注までの提案活動に限らず、注文をいただいた後の導入プロセスに関しても、自分のなかでしっかりとスケジュールを把握する。こうすることによって、納入関連のトラブルを防ぎ、お客様にご満足いただいて、リピート客を増やしている。
2012年、メーカーに向けた大口案件を受注し、社長賞を受賞した。この案件の詳細については、次週お話ししたいと思う。