大手コンピュータメーカーのデルで、製造会社やテレコム会社のお客様を担当する渡辺由布子さん。提案の手腕が高く社内で評価され、2012年に社長賞を受賞した。渡辺さんが商談を進めるうえで重視するのは、サーバーやストレージの実機に触ってもらい、デルの技術力の高さを伝えることだ。ソリューション提案の強化に取り組んでいるデルにとって、渡辺さんは、今後の活躍がいっそう期待される注目の人だ。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/大星直輝)
実機に触ってもらいデルのよさを伝える
前号でお知らせした通り、今回は社長賞を受賞した大口の受注にこぎつけた案件の経緯についてお話ししたいと思う。
お客様は、航空関連事業者だ。社内システムの刷新にあたって、システムを仮想基盤で動かす仕組みの導入を検討しておられた。実は、当社は5年ほど前にそのお客様との取引実績をもっていた。しかし、その後のフォローができておらず、私が今回の案件で最初にアプローチしたときに、「最近、デルはまったく来ないな」と、厳しい指摘をいただいた。
私はそのお叱りにめげず、提案させていただくアポイントメントを取って、当社のソリューションを訴求するためにお客様を訪問した。デルはパソコンメーカーとして広く知られているが、近年は法人向けのソリューション提案にも取り組んでいる。私は、テクニカル営業部門で働いていた頃からデルの技術力の高さをよく知っており、今回の案件では当社製品の優位性をお客様に伝えることに力を注いだ。
重要なのは、お客様にシステム導入後の利便性をイメージしていただくことだと考えている。お客様のシステム担当の方を当社にお招きして、ブレードサーバーやストレージの実機に触ることができるデモセンターを案内した。仮想基盤は、お客様に選んでいただくうえで、価格だけでなく、パフォーマンスが重要なポイントになる。デモセンターで実機に触れていただいたことで、デル製品の優秀さが伝わったと思う。
案件を進める過程で、上司から貴重なアドバイスをもらった。私はこれまで、どちらかといえば技術面を強調して提案を行っていたが、案件の進捗具合を報告するミーティングで「もっと『人間』の側面も大切にしろ」といわれた。確かにそうだ。お客様のシステム担当の上司に挨拶にうかがってみたりとか、いろいろとアドバイスを受けて、人間関係を広く深く築くことを肝に銘じてお客様へ通い続けた。
仮想基盤と数百台のクライアント端末を発注していただいたのは、最初のアプローチから3か月が経過した頃だった。もちろん競合他社も動いていた。そんななかで、技術面での優位性をアピールし、信頼関係を構築したことが実を結び、比較的短い時間で受注にこぎつけることができた。
受注金額のボリュームが大きい今回の案件を獲得して、心の底からほっとした。営業担当の私にとって、数字がすべてだからだ。結果が出ないと、落ち着かないので、「最後まで頑張ろう」という気持ちをもち続けている。
今後の課題と捉えているのは、社内の営業リソースをいかに効率よく活用し、全員が同じ方向に向いて動くようにするか、ということだ。営業部隊の一体感を強めてお客様と太いパイプを築き、ビジネスにつなげていきたいと思っている。
●日常使う営業ツール.......... ファッションやアクセサリを展開するブランド「kate spade NEW YORK」のiPhoneケースとノート・ペン。渡辺さんは、外出中にも常に会社のメールをチェックするので、iPhoneは欠かせない。その大切なビジネスツールをキズから守るケースは「かわいいデザインを重視して選んだ」そうだ。
●上司からのひと言.......... 「渡辺さんは、お客様担当の営業として強い責任感をもって、自らがハンドルを握って対応する。迅速で丁寧な対応がお客様からの高い信頼を得ることになり、ビジネスとしての結果につながっている。今後も、さらにソリューション営業を推進するアカウントチームのリーダーとして活躍してもらうことを期待している」(ラージ・エンタープライズ&公共営業統括本部 第一営業部の松嶋信吾統括部長)