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日本オラクル 既存ワークロードのクラウド移行に活路

2017/06/01 09:00

週刊BCN 2017年05月29日vol.1679掲載

新パートナープログラムでクラウドビジネス拡大

 日本オラクル(杉原博茂社長兼CEO)は、昨年秋に発表した新たなクラウドパートナープログラムである「Oracle Cloud Managed Service Provider(MSP)プログラム」の運用を、日本でも本格的に始めた。グローバル市場でも、日本市場でも、“ナンバーワンクラウドベンダー”になることを目標に掲げるオラクルだが、クラウドビジネスではまだまだ挑戦者の立場。Oracle Cloud MSPプログラムが、市場でのプレゼンス向上の有効打になるか。(本多和幸)

 米オラクルがOracle Cloud MSPプログラムを発表したのは、昨年9月に米サンフランシスコで開いた年次プライベートイベント「Oracle Open World(OOW)2016」でのことだった。国内での運用については、日本オラクルが今年4月24日、主要国内パートナー14社(アクセンチュア、アシスト、伊藤忠テクノソリューションズ、インフォシス リミテッド、SCSK、NTTデータ先端技術、新日鉄住金ソリューションズ、TIS、東芝、東芝ソリューション、NEC、日立システムズ、日立製作所、富士通)がMSPプログラムに参加し、クラウドビジネスの拡大に向けさらにアクセルを踏む方針であることをアナウンスした。トレーニングコンテンツの日本語化や、パートナー側が認定取得のために体制を整備するための時間、MSPプログラムをベースにした商材の整備に向けた助走なども必要だったため、このタイミングになったようだ。この14社のパートナーは、すでにプログラムの認定を終えたパートナー、認定のプロセスの途上にあるパートナーが混在しているものの、日本オラクルのクラウドビジネス拡大の中心を担っていくと位置づけられているパートナーであることには変わりがない。例えば新日鉄住金ソリューションズは、今回のアナウンスと同時に新サービスも発表している。
 

長谷川純一
アライアンス事業
統括副統括執行役員
(役職は取材当時)

 Oracle Cloud MSPプログラムは、文字通り、オラクル製品の導入だけでなく、保守・運用管理も含めたマネージドサービスを提供するパートナー向けのプログラムだ。パートナーは自社のクラウドサービスのポートフォリオにオラクルのクラウド製品群「Oracle Cloud」を部品のように組み込んで、自由に値づけしたり、課金モデルも独自に設定できる。長谷川純一・アライアンス事業統括副統括執行役員(役職は取材当時)は、その狙いを次のように説明する。「オラクルとしては、(高いシェアをもつDBを中心としたオラクル製品の)既存のワークロードをどれだけクラウドにもってこれるかが、当面の重要な戦略になる。グローバルでは、ユーザー企業のIT部門にオラクルのスペシャリストが大量に雇用されていて、オラクルが直接保守を提供するかたちが一般的だが、日本は事情が異なり、オラクルDBの一次保守サービスベンダーなど、パートナーがそうした部分を補完するマネージド的なサービスをもっているケースが多い。それをうまくクラウドのビジネスモデルにシフトさせようというのが今回のOracle Cloud MSPプログラムの趣旨だ」。

 長谷川執行役員は、「オラクル、非オラクルを問わず、既存のワークロードは、まだ実際は6%ほどしかパブリッククラウドに移行していない。これが10%、15%、20%と増えていくのは間違いない」と話す。同社は、オラクルDBなど、これまでオンプレミスで強みを発揮してきた自社製品の既存ワークロードのクラウド化は今後着実に進むとみており、そのニーズをOracle Cloud MSPのパートナーとともに囲い込み、先行するクラウドベンダーを追撃する。
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外部リンク

日本オラクル=http://www.oracle.com/jp/