
吉崎敏文
執行役員ワトソン&
クラウドプラットフォーム事業部長
具体的には、AIを活用するための訓練データや検証データといったAIナレッジの管理支援、実際にビジネスに適用するための本番導入支援、新しいデータで再学習するための支援、そしてAIスキルを身につけるための人材育成の支援などを想定している。日本IBMが顧客先において、実際にAIの本番稼働を支援してきた実績をもとに、AIに必要なデータやアルゴリズム、各種ツールを統合。再利用が可能な状態にして、ユーザー企業自身がAIの機能をフルに引き出せるようにする。
また、Watsonが導き出した結論の根拠や、判断の過程をたどることができるツール群も用意した。IBMの調べでは、ユーザー企業の約6割は、AIが導き出した結論の公平性や透明性、さらに進んでは責任の所在がどこにあるのかの点を懸念している。Watsonの判断過程をさかのぼれるツール群は、ユーザーのAI活用の妥当性に対する懸念解消にも役立つとみている。
AIの統合開発や、分析環境である「Watson Studio(ワトソン・スタジオ)」や、データ統合管理基盤の「Knowledge Catalog(ナレッジ・カタログ)」といった製品を併用することで、OSSによるAIシステム資産なども含めて、「高度な専門性がなくてもWatsonを活用できるようにしていく」(吉崎執行役員)ことを目指す。
販売面では、日本IBMの直販が国内大手企業をメインターゲットとし、IBMビジネスパートナーは中堅・中小企業をターゲットとして役割を分担。とりわけAI人材の不足感が強い中堅・中小企業でも使いやすい支援サービスやツール群は、販売拡大にも有効に作用すると期待する。こうした取り組みによってWatsonの採用企業数を増やし、早い段階で国内1万社超のユーザー数の獲得を目指していく方針だ。(安藤章司)