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AWSがre:Inventで見せつけた実力 ビジネスのフィールドは「宇宙」まで拡大 ハード開発も主導し多様なニーズを刈り取る

2018/12/08 12:00

週刊BCN 2018年12月03日vol.1754掲載

【米ラスベガス発】アマゾン ウェブ サービス(AWS)が、今年もクラウドのトップベンダーとして圧倒的な底力を見せつけた。11月26日から30日までの5日間、米ラスベガスで開催している年次イベント「re:Invent」で、新サービス、新機能の発表が相次いだ。

アンディ・ジャシー
CEO

 2日目の27日に記者会見を開き、アンディ・ジャシーCEOが自ら発表したのが、人工衛星と通信する地上局の機能をAWSのマネージドサービスとして提供する「AWS Ground Station」だ。ジャシーCEOは、「衛星は非常に膨大なデータを取得しているが、それを地上で利用するとなると大変なコストがかかる。今まで十分に使うことができなかったこの価値のあるデータを多くの人がより簡単に使える方法がないのか、長い間考えてきた。AWSの大規模なクラウドインフラを使って、それを可能にしたのがAWS Ground Stationだ」と力を込めた。

 AWSは世界19リージョンにクラウドサービスのインフラを展開しているが、地上局を各リージョンに紐づけるかたちで設置する。衛星からのデータをAWSが各種アプリケーションに活用できるかたちに変換し、その保存、活用、転送でもAWSのクラウドサービスを活用できる。従来、衛星からのデータをリアルタイムで活用するには、大規模な投資を行い自前で地上局を整備したり、地上局のサービスプロバイダーと長期契約を結ぶ必要があったが、「AWS Ground Stationはそうした制約を取り払い、衛星を活用したい全ての企業に門戸を開く」(ジャシーCEO)という。すでに二つの地上局でサービスを開始しており、2019年の半ばまでに12カ所の地上局を整備する計画だ。

 このほか初日の26日には、ARMベースのプロセッサー「AWS Graviton」を独自開発し、これを搭載した「Amazon EC2 A1インスタンス」の提供を開始したと発表。スケールアウト型ワークロードのコストを従来比で45%削減できるという。ピーター・デサンティス・グローバルインフラストラクチャー担当バイスプレジデントは、「今月初めにはAMDのEPYCプロセッサーを採用したインスタンスも発表した。AWSは桁外れの規模のクラウドインフラを持ったことで、均質なサーバーデザインから抜け出し、多様なニーズに合わせたハードウェアの特殊化を経済合理性の面からも許容できるようになった。コンピューティングのオプションの豊富さでは他社の追随を許さない」と、同社のクラウドサービスがさらに競争力を増したことをアピールした。(本多和幸)
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外部リンク

アマゾン ウェブ サービス ジャパン=https://aws.amazon.com/jp/