富士通(田中達也社長)は地方銀行を中心とした地域金融機関向けのビジネスでインテックと協業する。富士通の金融向けサービス基盤「FrontSHIP」と、インテックの地銀向けCRMソリューション「F3(エフキューブ)」を組み合わせ、地銀のビジネスの現場でデジタルトランスフォーメーションを実現したい考えだ。この協業をテコに、富士通は向こう5年間で100億円規模のFrontSHIP関連ビジネスの創出を目指す。

 富士通がインテックのような独立系SIerと連携するのは、それほどよくあることではない。今回の協業に至る経緯について、金融・社会基盤営業グループ第一金融ビジネス本部の堤秀樹・デジタルビジネス営業部長は、「もともとインテックは富士通製品のパートナーであり、お客様でもあったが、SIが絡むところでは連携しづらかったのは事実。しかし、APIがキーテクノロジーになってきたことで連携しやすくなったため、今年2月頃から協業の検討を進めてきた。金融機関のバックエンドシステムなどと外部のシステム・サービスをつなぐオープンAPI基盤やサービスインテグレーション基盤の機能を提供するFrontSHIPを当社が商品化したこともあり、具体的な話が一気に進んだ」と説明する。
 
第一金融ビジネス本部
デジタルビジネス営業部
堤秀樹
部長

 一方、インテックのF3は地銀向けCRMとして約5割のシェアを獲得する同社にとってのキラーソリューションだ。ユーザーはここに行員が足で稼いだ情報を蓄積しているが、データの収集も活用も行内で完結してしまっているため、そのポテンシャルが十分に発揮できていないという課題意識があったという。

 今回の協業に基づく具体的な取り組みとしては、FrontSHIPの「話題記事マッチングAPI」を活用し、外部から取引先に関連する複数メディアのニュースや官報などの最新情報を取得してプッシュ型で自動表示する機能を、F3の拡張サービスとして提供する。また、F3に蓄積された顧客との交渉履歴と外部情報を組み合わせ、有用な事例情報や類似企業の取り組みに関するニュースなども提供する。
 
第一金融ビジネス本部
デジタルビジネス営業部
佐藤淳平氏

 地銀での勤務経験もあるというデジタルビジネス営業部の佐藤淳平氏は、「地銀はまだまだ自由にインターネットで調べものができる環境にないところが多い。CRMに自分の担当範囲の情報がプッシュで来ることで、法人営業の現場は非常に楽になるはず。公共工事の落札情報などがあれば資金需要も把握できる」とメリットを強調する。

 F3とFrontSHIPの連携サービスは随時拡充していく計画で、地銀が顧客企業の売り上げ拡大やコストダウンに貢献できる販売先や仕入れ先候補を探索できるようなAIを活用したビジネスマッチングの機能や、取引先の経営者同士のつながりから営業活動の有効なアプローチ先やアプローチのルートを判断して提案する機能なども提供していく。さらには、地銀の営業店で行う接客や取引業務を、タブレット端末を活用して外出先でも実行できるようにしたいという。インテックが持つ接客のフロント機能のノウハウなどと、富士通が提供する勘定系システムとのリアルタイムな連携機能を組み合わせる。

 堤部長は、「FinTechのトレンドではSoE領域が注目されがちだが、基幹寄りのSoRをもっとオープンにしていかないと真のデジタルトランスフォーメーションにはつながらない。その意味で、今回のインテックとの協業には大きな意義があると思っている」としている。(本多和幸)