日立製作所は、オンラインストレージサービス大手のBoxとの連携ビジネスの第一弾として、文書管理/情報共有の「活文」シリーズを投入した。続く第二弾は受発注EDI(電子データ交換)システムとの連携を準備。さらに第三弾の連携サービスの開発も検討している。活文、EDIともに日立が長年開発・販売してきた定番商材だが、Boxと連携させることで「海外市場への展開も可能な“成長商材”へと変えることができる」(林秀樹・アプリケーションサービス第1本部アプリケーション第1部技師)と連携の狙いを話す。

 この5月からBox連携を始めたのは、活文シリーズで情報共有サービスの「活文Managed Information Exchange Service(活文MIES)」。Boxのオンラインストレージ機能を生かしつつ、文書の閲覧制御やファイル転送の高速化、チャットタイプのメッセージ共有といった機能を利用できる。文書の閲覧制御では、閲覧側に制御用のソフトを入れることで、文書を配布したあとでも有効期限を設定して閲覧を不可にしたり、USBメモリなどを使っての持ち出しをできなくするなどのコントロールが可能になる。

 また、第二弾として今年度中をめどに連携の準備を進めているEDIサービスは、日立が20年余りにわたって開発してきた「TWX-21」。Boxのオンラインストレージ機能を使うことで、製品写真やカタログ、CADデータ、発注書、納品書といったさまざまなファイル共有によって、従来のEDIでは実現が難しかった多様なデータを共有できるようになる。

 EDIを巡っては、NTTの電話網がIP網へ移行する2024年1月に向けて、従来の電話網やISDN網を使っていたEDIユーザーがインターネットEDIへの移行を始めている。日立ではこのタイミングでインターネットと親和性の高いBoxのプラットフォームを活用したEDIサービスを始めることで、競合のEDIサービスベンダーとの差別化を図るとともに、EDIユーザーである中小サプライヤーの情報共有の能力向上を支援していく。
 
林 秀樹
技師

 情報共有の「活文MIES」、EDIの「TWX-21」のいずれも日立の定番商品で、ビジネス的には成熟商材だった。これをBoxのAPIと連携させ、そのアプリケーション基盤上で稼働させることで、「世界中のBoxユーザーに向けた拡販につながる」(林技師)ことを期待している。既存の成熟商材がBoxの販路を活用することで、一躍、成長商材に変わるチャンスがあると見る。

 Boxの強みは、ほぼ無尽蔵に容量を増やせる強力なオンラインストレージだ。価格競争力があり、セキュリティ、データ保護規制などへの対応にも定評がある。例えばレントゲン写真やMRI(磁気共鳴画像)といった医用画像は容量が大きく、高いセキュリティが求められる分野にも応用が利く。今後は日立が力を入れている病院や診療所などとのデータ連携や、遠隔医療サービスとの連携も有望だと見られている。(安藤章司)