日立製作所のITセクターは、グローバルトップ集団入りの指針として、売上高4兆円、営業利益率15%を目標に掲げた。2021年度までの3カ年中期経営計画で売上高2兆6000億円、営業利益率13.0%へと引き上げたうえで、さらにその次のステップで、グローバルトップ集団に食い込んでいく考え。

 成長のカギを握るのは海外ビジネスとデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する戦略商材の「Lumada(ルマーダ)」関連ビジネスの二つ。M&Aなど3年累計で1兆円規模の投資を想定。うちLumada関連はおよそ1500億円の見通しで、既存のLumada商材の開発に一段と磨きをかけたり、競争力を失った商材はリストから外したりと、競争力の強化を重視した投資を行っていく。

 Lumada関連ビジネスでは、昨年度までに約1000億円を投じてユースケース約650件、ソリューションコアを約70種類に増やしてきた。医療装置や発電設備、機械設備の故障予兆診断といった、日立が強みとする制御技術や機械、プラントとITを連携させた商材が特徴的だ。ITセクターを担当する塩塚啓一・執行役副社長システム&サービスビジネス統括責任者 社会イノベーション事業統括責任者は、「ライバルではないモデルでビジネスを伸ばす」とし、グローバルトップ集団を目指しつつも、日立ならではの特色あるビジネスモデルで差別化を図る。

 日立ITセクターの人員数は、企業向けITでグローバルトップ集団を形成するIBMやアクセンチュアの数十万人規模に比べて、約7万6000人の規模に過ぎず、うち海外の人的リソースは約2万3000人で「見劣りしている」(塩塚副社長)と話す。Lumadaをはじめとする戦略商材を海外により強力に展開していくには、人員の拡充が欠かせない。このため2021年度までにM&Aなどを通じて、北米・アジア太平洋地域を中心に海外人員を4万人規模に拡大していきたいとしている。こうした取り組みにより、21年度の海外売上高を1兆1000億円規模に伸ばす考え。

 日立ITセクターは、前中計の3年間で収益性の低い事業所を統廃合するなどおよそ2000億円規模の事業縮小を行った一方、経営資源を収益力が見込める領域に集中。その結果、昨年度(19年3月期)までの前中計期間中に営業利益率を6.7%から10.8%まで向上させている。

 今中計ではLumadaを核に収益力を一層強化して13%に高めるとともに、次のステップとして「年商4兆円、営業利益率15%」の目標に迫っていく方針だ。

 ITセクターは、全てのビジネスユニット(BU)をITで横断的に支える「サービス&プラットフォームBU」に加えて「金融」「社会」「ディフェンス」の各BU、日立システムズ、日立ソリューションズなどのグループ会社を束ねたセクター。昨年度の売上高は2兆1216億円、事業拠点は47カ国・地域に展開している。(安藤章司)