ブロックチェーンを活用したIoTプラットフォームの普及を目指すジャスミー(佐藤一雅社長)は6月27日、トランスコスモス(奥田昌孝社長兼COO)などと共同で、コンタクトセンター向けのアプリケーションの開発と実証実験を始めると発表した。ブロックチェーンを活用したコンタクトセンター向けアプリケーションの開発例は国内になく、初の事例だという。

 ジャスミーの経営陣はソニー出身。ソニーの元社長である安藤国威氏が代表取締役、ソニーエリクソンモバイルコミュニケーション(当時)日本事業部門の責任者だった吉田雅信氏が取締役副社長CTOを務め、佐藤社長もソニーのクリエイティブセンター長を務めた経歴を持つ。そんな彼らがジャスミーで追求するコンセプトが、「データの民主化」だ。
 
佐藤一雅
社長

 佐藤社長は「GAFAに代表される巨大プラットフォーマーの中央集権型システムによって、私たちの行動履歴や個人情報が独占的に収集、分析、活用されている。しかし本来、これらのデータは私たち自身のものであるはず。個人のデータを本来持つべき個人の手に取り戻した上でセキュアに活用していける時代をつくるのがジャスミーの基本思想」だと説明する。IoTがさらに広く深く浸透すれば、人間の行動がデータ化される範囲も拡大していく。ジャスミーはそのデータの所有権は行動主体である個人にあるべきだという考え方をベースに、所有者の許諾の下でこのデータを組織横断的に活用できる仕組みを提供すべく、「Jasmy IoTプラットフォーム」を提供していくという。

 こうしたコンセプトを実現するために、基盤には分散型台帳技術であるブロックチェーンを使う。ジャスミーは独自のブロックチェーンを開発するニュージーランドのスタートアップ企業であるセントラリティーと提携関係にあり、ジャスミーが提供するJasmy IoTプラットフォームには同社の技術が採用されている。

 同社はJasmy IoTプラットフォームを活用した新ビジネス創出を目指し、今年1月に「Jasmy Initiative」という組織を立ち上げ、ジャスミーの理念に賛同した参画企業とともに事業開発やPoCに取り組んでいく計画を示している。

 トランスコスモスやVAIOとはそれ以前から個別に協業の検討を進めていたが、今回発表したコンタクトセンター向けのアプリケーションの開発はそれが具体的な形になったもの(同社はインターネットを経由するあらゆるデータを広義のIoTデータと捉えている)。ブロックチェーンを活用し、通常はコンタクトセンター側のサーバーで管理されるコールログや応対履歴を顧客が自分で管理できる仕組みを構築する。

 佐藤社長は「お客様がコンタクトセンターにコンタクトする度に過去の履歴などを説明する必要がなくなる。コンタクトセンター側も個人情報などを保持しなくてもよくなり、リスクが低減される」とそのメリットを説明している。(本多和幸)