楽天は7月31日から8月3日にかけてプライベートカンファレンス「Rakuten Optimism 2019」を開催。基調講演に三木谷浩史・代表取締役会長兼社長が登壇して、同社が目指す完全仮想化ネットワークの詳細を解説したほか、各パートナー企業が新たなアーキテクチャーの可能性について語り合った。

 楽天はグループ企業の楽天モバイルからNTTドコモとKDDIの回線を利用したMVNOサービスを提供しており、回線数で最大規模のシェアを持つ。2019年7月にはDMM.comからDMM mobile事業を継承、約26万回線までユーザー規模を拡大している。また、楽天モバイルは4Gで1.7GHz帯を1枠、5Gにおいては3.7GHz帯と28GHz帯を1枠ずつ割り当てられており、19年10月から第4のMNO事業者として4Gサービスを開始する予定だ。
 
三木谷浩史
会長兼社長

 三木谷社長は「MVNOはいわば回線のリセラーで、自分たちの技術的ブレイクスルーをサービスに反映できなかった。MNOとして、世界的に見ても高い日本の通信料金を改善したい」と語る。5Gサービスは20年6月から開始する予定で、他3キャリアと比べ出遅れる形となるが、まずは低価格な4Gサービスで足元を固める考えだ。

 楽天が提供するモバイル通信網では、汎用サーバーに仮想化基盤を構築し、その上でネットワーク機能などのソフトウェアを置く構成をとる。これまで多くの専用機が必要となっていた通信設備で汎用機を用いることで、保守コストを低減でき、機能追加やアップグレードの柔軟性を確保できるという。

 「5Gは1社でつくることはできない。マルチベンダーがそれぞれ最高の技術を組み合わせていく必要があり、楽天はそれらを一体化させる役割を担う」と、ノキアソフトウェアのバスカー・ゴーディ・プレジデントは語る。

 現在、楽天の正式パートナーにはノキアやNECといった機器メーカーのほかに、シスコシステムズ、アルティオスター・ネットワークスといったIT企業が名を連ねる。それぞれで基地局やアンテナ、ソフトウェア開発などを担当し、ネットワークを構築する構えだ。シスコシステムズのエンジニアリング担当CTO兼チーフアーキテクトのデイヴ・ワード・シニアバイスプレジデントは「iPhoneがデバイスという“車”に革命を起こしたとしたら、楽天はネットワークという“道路”に革命を起こす」と期待を寄せる。

 楽天は5Gの低レイテンシーを最大限に生かすため、エッジコンピューティングを前提としたネットワークを構築する。「これまでは多くの処理を遠くにあるサーバーまで上げていたために遅延が発生していた。楽天では4000台以上のエッジサーバーを設置する予定で、簡単に言えば高機能なサーバーが2キロごとに配置されるイメージ」(三木谷社長)という。これにより、自動運転やゲームといった分野での活用を見込む。三木谷社長は、「われわれはディスラプターとして変化の少なかった通信業界に殴り込みをかける」と語り、新たなMNO事業者としてのビジネスに意欲を示した。(銭 君毅)