キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS、金澤明社長)は、EDI(電子データ交換)のインターネット方式への「移行の手間をできるだけ軽減した製品づくり」(キヤノンITS・EDIソリューション営業本部企画部企画課の草真琴氏)を前面に打ち出すことで、移行促進のペースを落とさないようにしたい考えだ。
企画部企画課 草 真琴氏
NTT電話回線のIP化に伴い、2024年までに既存の電話回線を使ったEDIはインターネット方式などへの移行が求められているがコロナ・ショックの混乱で移行作業が遅れることも懸念されている。
キヤノンITSは「EDI-Master」のシリーズ名でEDI通信ソフトを開発している。EDIで広く使われている通信手順の一つ「全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)」向けの「B2B TLS-Accelerator」は、ユーザー企業の既存のEDI通信ソフトと取引先とをインターネットで結ぶ橋渡しの役割を担うもので、既存システムの改修を最小限にとどめられるため移行の手間が少ない。こうした点が評価されるかたちで、「昨年度は予想を大幅に上回る受注があった」(同)という。
B2B TLS-Acceleratorについては、4月13日に大規模システムの対応力や情報セキュリティの強化を発表。また、4月7日には電子部品業界で採用された最新の通信手順に対応した「B2B for ebMSv3-Client」の販売を始めるなど製品開発を加速させている。
同じくEDIソフトの開発ベンダーのインターコムは、コロナ・ショックによる作業遅延に関する「情報を精査しつつ、同時にビジネスパートナーへの支援も並行して手厚く行っていく」とコメントしている。データ・アプリケーションは「慎重に確認を進めている」とし、各社ともEDI移行が失速しないよう警戒している。(安藤章司)