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SAPジャパン クラウド版HANAが統合的なデータ活用基盤に進化 今年第2四半期に国内DCからも提供を開始

2020/05/15 09:00

週刊BCN 2020年05月11日vol.1824掲載

 SAPジャパン(鈴木洋史社長)は4月23日、SAPのインメモリデータベースである「SAP HANA」をクラウドで提供するマネージドサービス「SAP HANA Cloud」と、これを活用したDWHサービス「SAP Data Warehouse Cloud」を国内データセンターから提供すると発表した。サービス開始は今年第2四半期(4月~6月)の予定。「広範なシステムに散在する多様なデータを扱うことができる統合的なデータ活用基盤」(椛田后一・SAP HANA COEシニアディレクター)として、HANAのユーザー層を拡大していく方針だ。

 HANA CloudはSAPが提供するPaaS「SAP Cloud Platform」に含まれる機能の一つ。従来、SAP Cloud PlatformのDBaaS(Database as a Service)は「SAP HANA Service」というサービス名で提供してきたが、椛田シニアディレクターによれば、これは「オンプレミス版のHANAのソフトウェアをそのままクラウド上に乗せたもの」だった。今回発表したHANA CloudはHANA Serviceをリブランドした後継サービスであり、機能を大幅に強化したという。

 具体的な新機能としては、データベースの仮想アクセス機能を拡充した。オンプレミスやさまざまなクラウド環境で稼働するHANA以外のデータソース、例えばOracleの「Oracle Database」やマイクロソフトの「SQL Server」、IBMの「DB2」などを、HANAのテーブルと仮想的に統合して活用できるという。「HANA Cloudに接続すれば、あらゆるシステムを統合したデータ活用のゲートウェイとして機能する」(椛田シニアディレクター)ことを目指している。

 また、データ階層化管理機能も備えた。HANAはインメモリでの高速データ処理が売りだが、使用頻度の低いデータをメモリ上に永続的に展開するのはコスト効率が悪い。使用頻度の低いデータをストレージに配置して、メモリ上のデータと一体的に管理できるようにした。椛田シニアディレクターは、「ビジネスの成長はデータの増大も伴う。データのアクセス頻度や価値によって配置する場所を階層化し、性能とコストのバランスを最適化した」と説明する。

 さらに、Kubernetesを採用し、コンテナベースの仮想化技術によって、メモリやCPU、ストレージの柔軟な拡張を可能にする予定だ。この機能は未実装で、今年中にリリースするという。SAPはこれを、“クラウドネイティブ”なテクノロジーによってHANAのポテンシャルを高める重要な取り組みだと位置付ける。

 HANA Cloudと同時に国内DCから提供されるData Warehouse Cloudは、HANA Cloudをベースにしたサービスだが、椛田シニアディレクターは「DWH専用のクラウドDBサービスというだけでは表現として十分ではなく、正確には(業務部門の)ビジネスユーザーのためのデータ活用プラットフォームだ」とコンセプトを説明する。DBのテーブル設計からデータ加工、アナリティクスツールを使ったビジュアライズまで一つのプラットフォームで対応できるとのことで、HANA Cloudのメリットをそのまま活用しつつ、業務部門ユーザーでも容易に扱えるようなインターフェースをパッケージ化した形だ。(本多和幸)
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外部リンク

SAP=https://www.sap.com/japan/