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ダイワボウ情報システム アジャイル開発支援で日本IBMとタッグ OpenShiftを活用した開発環境を提供
2020/07/23 09:00
週刊BCN 2020年07月20日vol.1834掲載
ダイワボウ情報システム(DIS)が、日本IBMとタッグを組み、パッケージソフト開発やシステム構築を手掛ける再販パートナーのビジネス変革の支援に乗り出す。最終的にエンドユーザーのデジタルトランスフォーメーション(DX)につなげることが目的で、IBMのミドルウェア製品群をRed Hat OpenShiftに最適化してコンテナプラットフォームで利用可能にした「IBM Cloud Paks」をベースに、DISが「DXアプリ開発環境」を独自に開発、8月から順次提供する。これまで主力だったモノ売りに加えてクラウドビジネスも拡大し、両輪でさらなる成長を目指す方針だ。(齋藤秀平)
「われわれにとっても大きなチャレンジだ」。DISの谷水茂樹・経営戦略本部情報戦略部部長は、今回のDXアプリ開発環境の提供をこう位置づけた。
DISは、全国約90拠点の営業網に加え、約1万9000社の販売パートナーを抱える強みを生かし、「モノがある世界で、物理的にモノを動かすディストリビューション」(谷水部長)をしてきた。
業界を代表するディストリビューターとしてビジネスを展開する中、アプリケーション開発の世界では、ある変化が見えていた。それは、コンテナ技術などを活用したクラウドネイティブなアジャイル開発がグローバルで大きな流れになっていたことだ。
谷水部長は「国内に目を向けると、まだウォーターフォール型でパッケージソフトを開発している会社が多い」と分析。さらに「国内でクラウドの普及が遅れている一つの大きな要因は、クラウドネイティブのアプリがそれほど広がっていないことがある」として、開発側の変革が必要だとの認識を示した。
開発側が変革するためには、越えなければならないハードルもある。谷水部長は「ウォーターフォール型でパッケージソフトを開発している会社がクラウドネイティブのアジャイル開発に移行しようとすると、インフラの部分で相当な投資と努力が必要になることが課題になる」と指摘する。
DISは2018年末ごろから今回のプロジェクトに着手した。従来、クラウドベンダーが提供する開発環境の流通は手掛けていたが、クラウドベンダーと協業して自社独自の開発環境をパートナーに提供するのは初めての試み。谷水部長は「世の中の変化に合わせて、どうすればパートナーやその顧客企業のビジネスに貢献できるかを再定義した」とした。
レッドハットの買収が協力を促進
オンプレのビジネスとの融合も視野
DISと日本IBMがプロジェクトについて協議を進める中、協力を促進する大きな出来事があった。それはIBMによる米レッドハットの買収だ。
谷水部長は「各ベンダーの製品を調査をした結果、IBM以外は複数のメーカーの製品を組み合わせないと十分な開発環境を構築できなかった。IBMと協議を進める中、タイミングよくレッドハット買収の話があり、(Kubernetesベースのコンテナ基盤であるOpenShiftがポートフォリオに組み込まれたことで)トータルな開発環境をサポートを含めて提供できるようになった。これもIBMと組む大きなポイントになった」と振り返った。IBM Cloud Paksは、IBM Cloudはもちろん、主要なパブリッククラウドやオンプレミス環境に対応しているため、DISのDXアプリ開発環境も含む幅広い環境でのアプリケーション開発や実装に対応できるようになったという。
日本IBMパートナー・アライアンス事業本部ビジネスパートナー事業部の辻泰正・副事業部長兼ビジネスパートナー営業部長は「マルチクラウドに対応できる開発環境をつくることは、IBMの製品でしかできない。クラウドベンダーの仕様のまま開発すると、そこでしか拡張しないし、それでは今までの世界と同じになってしまう」と話す。
マルチベンダーとして各ベンダーのクラウドを提供しているDISにとっては、クラウドビジネスの拡大につなげられることが期待できる。しかし、谷水部長は「クラウド一辺倒になるわけではない」とし、オンプレミスとクラウドのビジネスの融合も目指す考えを示した。
DISは今後2、3年で、DXアプリ開発環境を100社に展開することを目標に掲げている。谷水部長は「プロモーションは、アジャイル開発が求められるエンドユーザーが多い会社に実施していく流れになるが、開発環境としてはどんな業種でも使えるようにして提供していく」と説明した。
その上で「日本のクラウドシフトを後押しし、日本がITの先進国になっていくことを強く願いながらビジネスを展開する。世界に通用するアプリを日本の企業から生み出せるように、しっかりとインフラ部分のお手伝いをしていきたい」と力を込めた。
日本IBMは、マーケティングや顧客のトレーニングの面でDISと協力し、製品の拡販につなげたい考え。それに加えてオープン化の流れを全国に広げたいとの狙いもある。
同社の三浦美穂・常務執行役員パートナー・アライアンス&デジタル・セールス事業本部長は「オープンなプラットフォームを世の中に広げていくのは、ITのベンダーとディストリビューターの使命だと思っている。われわれが取り組まないと、日本だけ不便なITの世界が一生続いてしまう。ビジネスの気持ちと社会を変えたいという気持ちの両方を持って今回のプロジェクトを進めていきたい」と語った。
ダイワボウ情報システム(DIS)が、日本IBMとタッグを組み、パッケージソフト開発やシステム構築を手掛ける再販パートナーのビジネス変革の支援に乗り出す。最終的にエンドユーザーのデジタルトランスフォーメーション(DX)につなげることが目的で、IBMのミドルウェア製品群をRed Hat OpenShiftに最適化してコンテナプラットフォームで利用可能にした「IBM Cloud Paks」をベースに、DISが「DXアプリ開発環境」を独自に開発、8月から順次提供する。これまで主力だったモノ売りに加えてクラウドビジネスも拡大し、両輪でさらなる成長を目指す方針だ。(齋藤秀平)
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