米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの日本法人ZVC JAPANは8月27日、ビジネスの最新状況や今後の方向性に関する記者説明会を開催した。佐賀文宣カントリーゼネラルマネージャーは、Web会議ツール「Zoom」の有償利用企業数が1万5000社を突破し、「この半年でWeb会議のビジネスが急激に広がった」と強調。今後の方針として、オフィス復帰による会議室需要や、在宅勤務向けの製品提供を掲げ、一層のビジネス拡大を狙う。(前田幸慧)
Zoom for Home認定デバイスの「DTEN ME」
ZVC JAPANは2019年7月に日本オフィスを開設し、国内ビジネスを推進してきた。当時は、10ライセンスからで構成される「ビジネスライセンス」以上のプランを利用する企業数は2500社だったが、その後1年間で1万5000社超に急拡大。佐賀カントリーゼネラルマネージャーは「予想外に早くビジネスとして広がってきた」と手応えを見せる。
国内ビジネス拡大に向けてはパートナービジネスに注力。今年3月には、SB C&Sと初のディストリビューター契約を結んだ。以降、同社経由でZoomを販売したリセールパートナーは「すでに300社」になると言い、「全国でZoomをお客様にご提案いただけるような体制が整ってきている」と説明。現在、取引の70%がパートナー経由のビジネスになっているという。
また、8月には従来運営してきた東京に加え、新たに大阪にデータセンターを開設。東京・大阪間での負荷分散による安定した環境の提供と、来年の国内市場投入を目指すクラウドPBXサービス「Zoom Phone」の提供に向けて、サービスインフラの強化を図っている。
今年後半から来年にかけては、会議室用ライセンス「Zoom Rooms」の提案を強化する。新型コロナの感染拡大を受けてWeb会議の需要が急増した一方、「会議室用ライセンスの販売は一度落ちた」が、オフィス勤務への復帰によって会議室の需要が高まると見る。
同時に、在宅でのより快適なWeb会議の実現にも注力する。新コンセプトとして「Zoom for Home」を発表。Zoomのミーティングアカウントを利用して、認定/互換デバイスと組み合わせてZoom会議を行うことができる。初の認定デバイス「Zoom for Home DTEN ME」も10月から国内市場で提供。DTEN MEは27インチのマルチタッチディスプレイ。ZVCとDTENが共同開発した製品で、あらかじめZoomクライアントが搭載されている。
Zoomを巡っては、今年に入り企業および個人ユーザーが急増する中、3月ごろからセキュリティやプライバシーに関わる問題が顕在化した。同社では4月から90日間、全ての開発リソースをセキュリティに投入し、こうした問題の解決にあたると表明していた。
この間に取り組んだこととして、佐賀カントリーゼネラルマネージャーは、CISO評議会の立ち上げなど外部の専門家による支援や、侵入テストによる脆弱性の発見、製品への100を超えるセキュリティ機能追加などを挙げるとともに、「こうした取り組みについて透明性をもってお客様に説明してきた」としている。