弥生は11月5日の記者発表会で、2020年度(19年10月~20年9月)の売上高が202億7000万円と初めて200億円を突破し、過去最高になったことを明らかにした。岡本浩一郎社長は「新型コロナウイルスの影響は非常に軽微にとどまり、順調に成長を続けることができた」と総括した。

岡本浩一郎 社長
 岡本社長は、弥生シリーズの直近の登録ユーザー数が220万を超え、過去5年間で順調に成長していることも紹介し、「デスクトップアプリケーションとクラウドアプリケーションの両方を提供し、結果的に両輪でユーザー数が拡大している」と述べた。

 市場の動きについては「マーケットシェアは引き続き1位。デスクトップアプリのシェアは65.8%で、3人に2人近くが弥生会計を選択している。クラウドアプリのシェアは、個人事業主のクラウド会計市場で56.7%となっている」と話した。

 パートナー関係では、会計事務所とパートナーシップを組み、中小企業や個人事業主、企業家の発展を目指す弥生PAP会員については「9月末時点で会員数は1万558まで到達した」と説明し、「会計事務所とのパートナーネットワークとしては日本最大級になっている」と自信を見せた。

 コロナ禍の状況については「顧客の事業は止まっておらず、カスタマーセンターには非常に多くの問い合わせをいただいた」とし、「われわれも顧客の業務継続を支援できた。大変だったが、やりがいがあった」と振り返った。

 また、小規模事業者の業務効率化に関する重要性が社会全体であらためて認識されたとの考えも示し、実現に向けて「大事なのは電子化ではなくデジタル化だ」と強調。短中期と中長期の二つの時間軸でアプローチしていくとした。

 短中期の取り組みでは、実務に寄り添った効率化を目指すとし「まずは業務のなかであふれている紙をどうするかを考えていく」と話した。柱となる弥生シリーズについては、デスクトップアプリ「弥生21シリーズ」の最新バージョンを11月13日に発売すると発表した。

 最新バージョンでは、法令改正への対応に加え、金融機関との口座連携機能を強化した。これまでデスクトップアプリから口座連携機能を使う場合、いったんクラウドアプリで操作し、デスクトップアプリに戻る必要があったが、これからはデスクトップアプリ内で利用できるようになるという。

 9月に開始した会計事務所向けの記帳代行支援サービスについては、現時点で会計事務所内の記帳代行業務を一通りカバーしているとの認識を示した一方で、「最終的に価値を提供したいのは事業者。事業者にとって一番必要なのは、自社の経営状況をできるだけ迅速かつ正確に見えるようにすることなので、入力した結果を会計事務所からタイムリーに事業者に戻す仕組みを今後提供していきたい」と語った。

 一方、中長期の取り組みでは、確定申告や年末調整などのデジタル化を目標に、他社などと議論を進めているほか、23年10月に控えるインボイス制度の開始に向けて準備を進めていることを紹介し、「紙を含めた今の実務をいかに効率化していくかということは非常に大事だが、それだけでは未来はない。未来という観点で言うと、デジタルを前提に、全体最適化された抜本的な業務効率化を官民連携で推進していく必要がある」と訴えた。(齋藤秀平)