SAPジャパンの鈴木洋史社長は2月17日、記者会見し、2021年のビジネス戦略を説明した。重点戦略の一つとして「クラウドカンパニーとしてさらに深化する」を掲げ、1月に発表したサービスパッケージの「RISE with SAP」を軸に顧客の変革を支援し、コアERPのクラウド化を本格的に推進する考えを示した。

鈴木洋史 社長

 鈴木社長は「新型コロナウイルスや気候変動、地政学的な緊張、国際貿易上の問題などが多発し、世界がいかに不安定で、企業にもその影響が大きく及ぶことを痛感した」と昨年を振り返り、企業の動きについては「多くの企業はビジネス変革を通じて根本的な課題解決を目指している」と述べた。

 その上で、RISE with SAPについては「あらゆる業種や規模の企業を対象にしており、ビジネス課題を解決するために必要なDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するのに最適」と説明し、「顧客がビジネスの回復力や業務効率、俊敏性を高め、イノベーションのスピードと頻度を高めるための支援を目指す」と語った。

 さらに「過去10年でクラウドポートフォリオを拡大し、人材管理や経費精算、調達、購買などの特定の業務領域を中心にクラウドソリューションの導入が進んだ」とした一方、「顧客と対話を重ねる中で、カスタマイズされている既存のコアERPのクラウド移行の支援強化が最重要であると認識し、RISE with SAPを提供することにした」と話した。

 顧客のコアERPのクラウド化を推進するために、RISE with SAPをどのように展開していくのか。鈴木社長は具体的な取り組みとして三つのカテゴリーを想定しているとし、「第一に顧客の業務プロセスをレビューし必要に応じて再設計をする。第二にツール群を提供し、移行を確実なものにする。第三にERPのSAP S/4HANAやビジネスネットワーク、ビジネステクノロジープラットフォームなどを活用し、顧客がインテリジェントエンタープライズとなるためのアーキテクチャーの構築を支援する」と紹介。グローバルでは130社がRISE with SAPのパイロット企業となり、日本からは4社が参加していることを示し、「RISE with SAPを通じてすべての顧客にインテリジェントエンタープライズへの道筋をよりシンプルに提供する」と呼びかけた。

 市場の動向については「昨年4月~6月の時点では、先行きが見通せない状況もあり、多くの企業は現在のプロジェクトにブレーキをかけ、少し様子を見ようという動きが多かったが、後半はコロナ禍の中でDXを加速させていかなければいけないという流れになり、一気にアクセルを踏み込み、加速させている」と分析し、「この流れは21年も変わらず、ますます勢いを増していくと考えている。しっかりと日本企業のDXに寄与していきたい」と意気込みを語った。

 20年の業績については「グローバルの伸び率を大幅に上回る前年比11%増を達成し、2桁成長を堅持した」とし、内訳については「コロナ禍で経費精算業務の激減があり、グループ会社のConcur(コンカー)のビジネスに少し影響があったが、それ以外の領域はすべて昨年を上回り、とくにコアERPであるSAP S/4HANA Cloudの領域は順調に伸びている」とした。(齋藤秀平)