NTTと富士通は4月26日、高速・省電力な通信機器や次世代コンピューティング技術の実現に向けて戦略的業務提携を行うと発表した。電気に加えて光を信号の伝送や処理に用いる「光電融合技術」を軸に、大量の通信・計算リソースが必要となる6G時代に向けた製品開発を共同で行う。

NTTの澤田純社長(左)と富士通の時田隆仁社長

 NTTは2019年、光信号を通信や情報処理に全面採用する次世代ネットワーク「IOWN(アイオン)」を30年ごろまでに実現する構想を提唱した。そこでの中核技術となるのが、光信号と電気信号を融合する「光電融合」だ。現在は主に長距離通信に使われている光技術を、サーバー内部などの部材の接続に用いるほか、将来的にはCPUなどのチップ内の信号伝送にも応用する。高速な処理を行うほど消費電力や発熱が大きくなる電気信号に代わり、光信号を使用する領域を増やしていくことで、高速・省電力な通信機器やコンピューターを実現することを目指している。

 今回の提携ではまず、NTT子会社で光通信機器を開発・製造するNTTエレクトロニクスが、富士通子会社で半導体の実装設計を行う富士通アドバンストテクノロジ(FATEC)の66.6%の株式を取得する。取得日は今年6月1日で、FATECは同日よりNTTエレクトロニクスクロステクノロジに社名変更する。NTTが持つ光デバイス技術と、富士通の半導体実装技術を組み合わせることで、光電融合技術を応用した製品をいち早く市場投入するのが目的。22年度中に同技術を用いた省電力光通信モジュールを製品化し、その後富士通の5G基地局などに搭載していくことを目標としている。

 また、光電融合技術を応用した新たなコンピューターのアーキテクチャーである「ディスアグリゲーテッド(非統合型)コンピューティング」の開発にも、NTTと富士通が共同で着手する。現在のコンピューターはCPU、GPU、メモリ、ストレージといった各リソースが単一筐体内に搭載され、電気回路で接続されている。これに対して新たなアーキテクチャーでは、各リソースを光ネットワークで接続することで、必要に応じてリソースを動的に組み合わせられるようにし、電力効率と性能の両立を図る。

 NTTは昨年、IOWN構想や6Gをにらんだ技術開発でNECと資本業務提携を結び、NECに644億円を出資している。NTTの澤田純社長は、NECとは「全体の資本提携から入って、かなり包括的な協業構造にしている」と述べ、広範な事業領域での連携を指向していたのに対し、富士通の場合は「コンピューターや通信機器を変えていこう、半導体を一緒に作ろう、という明確なプロジェクトから入っていく」とし、今回は課題解決型の提携であると説明した。加えて「(NTT、NEC、富士通)3社連携のスコープは、可能ならばそれはあり得るかと思う」とも発言し、“日本発”で通信やコンピューティングのアーキテクチャーを変革していく意欲を強く示した。(日高 彰)