国際会計事務所グループのEYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)は、データ分析を起点としたITソリューション事業の拡大や、アジャイル方式によるソフト開発に力を入れている。顧客企業のデジタル技術を活用した経営革新やデジタル・トランスフォーメーション(DX)の領域に狙いを定めてビジネスを展開し、昨年度(2021年6月期)から国内でのITソリューション事業の本格的な拡大期に入った。今年10月には旺盛なソフト開発の需要に応えるため、先進デジタル技術やDXにほぼ特化したソフト開発の拠点を福岡に新設している。
国内では大手SIerや外資系のアクセンチュア、IBMなど競合ベンダーが勢力を保っている。それでも後発で参入してビジネスを伸ばす余地があると判断した理由について、田畑紀和・テクノロジーコンサルティングリーダーは「既存の請負型のIT導入支援や人材提供型のビジネスだけでは、顧客の要望に十分応えられない」点を挙げる。とりわけデータを起点としたビジネスモデルの抜本的な変革や、それを支えるアジャイル式のソフト開発は需要に供給が十分に応えられていないと見ている。
田畑紀和 リーダー
EYSCの着眼点は、IBMが今年、汎用的なSIやITアウトソーシングを手がける事業をキンドリルとして分社化し、自社は先進的な技術を駆使したデジタル変革の領域に経営リソースを集中するのと類似性がある。国内で提唱されているDXも、顧客とベンダーが一体となってビジネス転換を推進する共創を軸とするケースが多く、発注者・受注者の従来の関係から変化が起きており、EYSCはこうした変化に大きなビジネスチャンスを見いだしている。
直近はデータを起点としたビジネスが好調に推移している。国内では、国の健康データの分析を通じて、人工透析が必要な病気の発症予測モデルを構築し、全国展開を視野に入れる案件がある。海外では、オーストラリアで子どもを虐待から守るためのデータ分析基盤の構築などに取り組んでいる。ほかにもグローバル規模のサービス提供体制を生かして、日系精密機器メーカーの国内外の拠点でデジタル変革を推進するビジネスなどを手がける。こうした案件を獲得することで、国内のITソリューション関連ビジネスの昨年度の売り上げは倍増しており、今後もこの勢いを維持、拡大させていく方針だ。(安藤章司)